2020.12.07 UP 閲覧数 277
おすすめ暮らしと生き方特集・連載

【生き方特集 2】玉置妙憂さん ただ、寄り添う。

最近、テレビなどでも見かける優しそうな剃髪した女性。それが「看護師僧侶」玉置妙憂さん。 がんの夫を看取り、仏門に入り、僧侶への道に進んだ玉置さんが語るのは介護や看取りに苦しむ人たちに向けた「ただ、寄り添う」といった優しく力強い言葉の数々でした。

玉置妙憂(たまおき みょうゆう)

東京都中野区生まれ。専修大学法学部卒業。夫の「自然死」という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し、出家。高野山真言宗にて修行を積み、看護師の資格を持つ僧侶として活躍。テレビのコメンテーターも務めるほか、数多くの著書を出している。現在は「非営利一般社団法人大慈学苑」を立ち上げ、スピリチュアルペインをケアする「スピリチュアルケア」活動に力を注いでいる。

あなたはそこにいるだけでいい大切な人の命の終わりにどんな決断をしても人は必ず後悔するものです

 

看護師、看護教員、ケアマネジャー、僧侶。玉置妙憂さんの肩書はその波乱万丈な人生を物語っています。法律事務所で働いていたところ、長男が重度のアレルギーになり、「息子専属の看護師になろう」と決意。看護師・看護教員の資格を取って、病院に勤務。今度はカメラマンだった夫のがんが再発。「積極的な治療はしない」という本人の意志を尊重し、夫の「自然死」を看取った。その死にざまがあまりに美しかったことから開眼し、出家。高野山真言宗にて修行に励み僧侶に……。

テレビや講演会、著書で玉置妙憂さんが語るのは「大切な人の命の終わりにどう関わるのか」ということ。看取る側の立場に立ってお話をしてくれます。

よい、悪いを決めるのは 「自分の物差し」だけ。

 

日本は世界有数の長寿国、昔だったら大往生だと言われた年齢になっても、元気な人たちがたくさんいます。でもたとえ90歳、100歳と長生きをしてくれても、「大切な人の命の終わり」を迎えるのはとてもつらいものです。

また日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで死ぬという時代です。大切な人が思っていたよりも早く「命の終わり」を迎える。そんな厳しい現実に直面する人も多いでしょう。

この世に存在するすべての生きものに「命の終わり」は必ずやってきます。でも心は、なかなかそれを受け入れることができません。そこで人は悩みます。

「大切な人の命の終わりにさいして、自分は何ができるのか」

「できるだけよい看取りをするには、どうすればいいのか」と。

「看取り」に正解はなく、「よい死に方」も「悪い死に方」もありません。よい、悪いを決めるのは「自分の物差し」だけ。そして看取るあなたにできるのは、大切な人に「ただ、寄り添う」ことだけ。

では看取りのお話をするときによく私が話す、本来の意味のスピリチュアル、そしてスピリチュアルペインに関してお伝えしていきますね。

コップの水をイメージしてください。たとえばコップの底のほうの水がドロドロの状態だったら、コップの表面の水も清潔であるはずがありません。

 

WHO(世界保健機関)は「体と心、社会、そしてスピリチュアルの4つが健全であれば、健康だ」と言っています。人間が持って生まれた根源的なもの、それがスピリチュアルだと私は解釈しています。確かにそこにはある。でもふだんは見えないもの、意識していないのがスピリチュアルです。たとえばコップの水をイメージしてください。その水にフーッと強く息を吹きかけると、表面の水は少し揺れますよね。これが心です。でもコップの底のほうの水は、息を吹きかけるぐらいでは微動だにしません。これがスピリチュアルです。心はスピリチュアルに支えられているからです。たとえばコップの底のほうの水がドロドロの状態だったら、コップの表面の水も清潔であるはずがありません。たとえばコップの上澄みは透明に見えても、コップ本体が動かされるような出来事があったら、底にあるドロドロとしたものが浮き上がってくるでしょう。

「なぜ人は生まれてきたのか」「自分は何のために生きるのか」「なぜ死ぬのに、こんなに苦しい思いをしなければいけないのか」「他人の世話になってまで、どうして生きているのか」。

そんな自分の存在に関わるようなモヤモヤとした思いをスピリチュアルペインと呼んでいます。

命の限りを見たとき、意識したとき、人はスピリチュアルペインを感じるのです。

 

ではふだんは存在することさえ意識していないスピリチュアルの痛み、スピリチュアルペインはどんなときに感じるのでしょうか?

それは「命の限りを見たとき、意識したとき」です。たとえばがんで余命宣告を受けたとき、家族が大病をしたとき、大きな災害や事故で人の死を目の当たりにしたときなど。「人の命はいとも簡単に失われる」「こんなにむざむざと奪われるものなのだ」という状況に自分が直面すると、「何のために生まれてきたのだろう」「生きる意味って、何だろう」という思いが、わーっとあふれてくるのです。

スピリチュアルペインを抱えて、悩み、苦しむことによって、人としての次元が上昇するのだと思います。

 

たとえば大震災や今のコロナ禍など未曾有の出来事が発生すると、直接の被害を受けなくても、価値観や生き方が変わったという人が多くいます。ふだんは心よりもうんと奥の方にあったスピリチュアルの箱のふたが開いたからでしょう。

ふだん私たちがスピリチュアルペインを感じないのは、人間の本能だと思います。なぜかというと「なぜ生まれてきたのか」という根源的な問いには誰も答えようがないからです。

私たち人間は、いつかはスピリチュアルペインと向き合うように定まっている。そしてスピリチュアルペインを抱えて、悩み、苦しむことによって、人としての次元が上昇するのだと思います。

愚痴や悪口を聞くのは30分だけ、その間は傾聴に徹してください。ただ寄り添って聴くだけです。

 

スピリチュアルペインという難しい話を先にしてしまいましたが、(介護の現場など)相手の話を聞くという意味では、高齢者の愚痴や悪口の対策としては、ただただ話を聞く、傾聴で対処しましょう。とはいえしんどくなるものです。そういうときは「30分間だけ相手の話を黙って聞く」と決めるとよいでしょう。その代わり、その30分は「そんなこと言ったって…」「それはおかしいよ」などと言い返してはダメ。聞くと決めたらしっかり聞く。途中でイヤになっても、その30分間はまるっと話を聞いてあげましょう。それが傾聴ということです。

アドバイスする必要はありません。ましてや「何か役に立つことを言ってあげないと」なんて 思う必要もありません。

 

あなたの友人がスピリチュアルペインを抱えていて、あなたにその思いを話したいという場合も、やはり傾聴してあげましょう。「こんなことがあって、こんなことがつらくて…」と話す友人に対して、「そういうときは、こうすればいいのよ」なんてアドバイスする必要はありません。ましてや「何か役に立つことを言ってあげないと」なんて思う必要もありません。友人のあなたを選んだのは、ただ聞いてもらいたいからです。ものをたずねられたら、答えを返してあげたいと本能的に思うものです。でもそこはぐっと我慢して、傾聴に徹しましょう。

 

「自利をもって、利他に励め」、まずは自分を満たす。自分自身がハッピーであるようにまず自分自身をケアすることが先。他人のケアはその後にするものです。

他人のケアをするためには、自分のケアをきちんとして、まず自分の心を満たしてあげることが必須なのです。

 

仏教には「自利」「利他」という言葉があります。「自利」というのは自分を活かす、「利他」というのは他人を活かす、思いやるという意味です。そして「自利をもって、利他に励め」とお釈迦さまは言っています。この「二利が回る」ことで、世の中はうまくいくと言うのです。

これは仕事、家事などすべてのことに当てはまりますが、とくに介護や看取りの現場では非常に大事なことです。しかも長期に渡る介護は「自分のことを後回し」では到底乗り切れません。「自分さえ我慢すればいい」と最初のうちは思っていても、やがて「どうして自分ばっかり」となり、「もうすべて投げ出したい」「どうせ助からないのなら、早く逝ってほしい」という気持ちが湧いてきて、看取った後に後悔ばかり……なんてことになりかねません。

他人のケアをするためには、自分のケアをきちんとして、まず自分の心を満たしてあげることが必須なのです。

生き死にの問題では「いい」のか「悪い」のかなんて本当のところは誰にもわかりません。

 

選択に迷いはつきものです。私たちは「悪い」よりも「いい」方がいい。少しでも「いい」方を選びたいと思うものです。

グレーはグレーのまま、ゴックンと飲み込む度量が必要です。「自分の選択はあれで正しかったのか」という後悔の気持ちが湧いてきたら、「あれで正解だった」と何度も何度も自分に言い聞かせ、そう思い込んでください。

天は彼の人がもう働かなくてもよいように病と老いをもたらし、彼の人をもう休ませるために死を持ってくるのです。

 

もしも大切な人を亡くしたら、悲しみの穴にドボンと落ちるもの。穴に落ちたら無理せずとことん沈み切ろう。穴の底まで落ち切ったら、はい上がれます。

RANKING よく読まれている記事

更年期 終わりのサイン
健康と食
更年期の「終わりのサイン」って?更年期後…
閲覧数 26,088
ごぼう茶
健康と食
美容に良いと話題のごぼう茶!効果や効能は…
閲覧数 13,309
美とおしゃれ 趣味と教養
-5歳は若返る!? 50代からの正しいメ…
閲覧数 12,151
美とおしゃれ
おすすめ キレイな50代女性がやっている10のこと…
閲覧数 10,153
健康と食
おすすめ 塩抜きダイエットレシピ5選!滋味豊かな食…
閲覧数 4,290
おすすめ 空の巣症候群とは?子どもが巣立った後にで…
閲覧数 3,809
二重あご 髪型
美とおしゃれ
二重あごが目立たない髪型は?おすすめヘア…
閲覧数 3,027
スパイス 効能 用途
健康と食
有名なスパイス10種類の効能と用途一覧!…
閲覧数 2,651
暮らしと生き方
いくらあげる?孫へのお祝いやお年玉
閲覧数 2,019
暮らしと生き方 趣味と教養
おすすめ 除菌スプレーは自分で作る!おうちで簡単に…
閲覧数 1,837
美とおしゃれ
50代女性は髪が命!髪がきれいな50代女…
閲覧数 1,677
健康と食
おすすめ 星野由香先生が教える「ほぐピラ」メソッド
閲覧数 1,413
健康と食
暑い・寒い・眠い・痛い!?更年期の症状は…
閲覧数 1,310
美とおしゃれ
おすすめ エレガントな女性は持ち物で決まる!素敵な…
閲覧数 1,126
健康と食 暮らしと生き方 特集・連載
おすすめ 桧山タミ先生が見つけた幸せな生き方「家…
閲覧数 1,033
特集・連載 趣味と教養
【special interview】「…
閲覧数 607
特集・連載 美とおしゃれ
【美容特集】グレイヘアという選択
閲覧数 588
特集・連載 趣味と教養
おすすめ 結ぶだけでできる風呂敷エコバックの作り方
閲覧数 560
定年後 資格 女性
暮らしと生き方 趣味と教養
定年後に役立つ資格って?女性におすすめの…
閲覧数 556
健康と食 暮らしと生き方
イライラする!?更年期障害の改善に期待で…
閲覧数 548
もっと見る

今が定期購読を始めるチャンス!

表紙
表紙

めりぃさん
発行:ては〜とホールディングス株式会社

めりぃさんアプリをダウンロード→会員登録して無料定期購読をはじめよう! 会員特典0円

めりぃさん
発行:ては〜とホールディングス株式会社

毎日の暮らしや健康ライフをサポートする情報誌「めりぃさん」を定期購読しませんか?めりぃさんアプリをダウンロードして会員登録頂くと、特典として、年6回発行される情報誌めりぃさんを永年無料でご自宅までお届けします。ぜひこの機会に、めりぃさんアプリからお申し込みください。

まずは、お使いのケータイにめりぃさんアプリを無料で簡単にダウンロード

QRコードが読み込めない場合はApp StoreまたはGoogle Playで「めりぃさん」と入力して検索してください。

「iPhone」の方は
こちらから

App Storeからダウンロード
App Storeのqrコード

「Android」の方は
こちらから

Google Playで手に入れよう
Google Playのqrコード