2022.08.24 UP
おすすめ暮らしと生き方特集・連載趣味と教養

産業保健コンサルタント 江龍伸子さん【輝く人のON/OFF】

撮影/木村和敬 取材・文/瀬名清可(Weekend.)

江龍伸子さん

えりゅう・のぶこ●保健師。株式会社メディヴァ・産業保健コンサルタント。東京医科歯科大学卒業後、病院勤務や産業保健師を経て現職。私生活では2拠点生活を実践。

意外な理由で医療職を目指したという江龍伸子さん。
産業保健師のキャリアを経て、現在は働く人や企業の健康づくりコンサルタントとして忙しい毎日を送っています。
自分らしく生きる人の“ONとOFF”を紹介するこの連載。今回は、江龍さんのONとOFFをのぞいてみました。

  • 14歳 バスケ部に所属。ムードメーカーである自分の個性に気付く。
  • 20歳 看護学部に進学。厳しい実習は、終了時に盛大に打ち上げをして乗り切る。
  • 25歳 市の保健師として横浜市役所に勤務。現職でも共に働く運命の友と出会う。
  • 29歳 コーチングを学び、コミュニケーションによって人の健康や生きがいを創造できることに気付く。
  • 36歳 結婚。週末農業をしていた夫と東京&富士吉田での生活をスタート。
  • 48歳 健康課題における顧客の課題解決を目指し、メディヴァへ転職。
  • 49歳 NPO法人「すみれブーケ」と出合い、自宅敷地内にシェアハウスを運営。身寄りのない若者へ居場所の提供をはじめる。

【18歳】少女マンガがきっかけ。勘違いから始まった医療職への道

手に職をという母の助言のもと、進路を決めたという高校時代の江龍さん。どうせなら成り手が少ない職業をと考えたところ、理学療法士が活躍する少女マンガを見て、これだ!と思ったそう。

 

「事故にあった主人公にリハビリを施す理学療法士に憧れました。入学したのは保健衛生学科。保健学を学ぶと漠然と思っていたけど、入ってみたら看護学中心でびっくり、授業を受けるうちにここでやってみようという気に」

【25歳】興味は働く人々の健康へ。親友との出会いで世界が広がる

無事、看護師になった江龍さんですが、25歳のときに“運命の友”と出会います。
「彼女とは区役所の保健師をやっていた時期に出会いました。一貫して、働く人の健康こそ大切だと話す彼女は、強い気持ちで、いつも私の数歩先を歩いていましたね」

 

また、同じ時期に出合ったコーチングには、目からウロコが落ちるような驚きを覚えたそう。
「コミュニケーションで人に違いをもたらすことができると知り、衝撃でした。看護師も患者に寄り添いますが、具体的なコミュニケーション方法までは学びません。コーチングをきっかけに、病気の方だけではなく、元気な人が心身から健康に働ける環境を構築できないかと思うようになったんです」

【36歳、48歳】結婚とメディヴァへの転職。世界が変わり始めた2つの岐路

コーチングとの出合い以降、主に産業保健師として活躍してきた江龍さん。2020年には、25歳のとき出会った親友に医療や介護領域のコンサルティングを行う「株式会社メディヴァ」に誘われました。

 

 

「メディヴァに入る前は、自らの考えで現状を変えるようなことはやってきませんでした。でも、メディヴァはそれこそが仕事。考えないと解決しないし、考え方そのものも学べます。長年感じてきた健康経営実現の難しさや組織的矛盾に、やっと本来の意味で取り組めると思いました」

 

 

また、富士吉田市(山梨)を拠点としていた旦那さんとの結婚は、ライフスタイルを一変するきっかけに。
「夫とは、趣味の農業サークルで富士吉田を訪れた際に出会いました。田舎育ちの私は、夫の暮らし方にも抵抗がなく、結婚後は東京をベースに、週末だけ富士吉田につくったセカンドハウスで畑仕事をしながら過ごす、そんな都会と地方の二拠点生活が始まったのです」

チームメンバーは、保健師や放射線技師、心理士など医療職出身者も含まれる。和気あいあいとしながらも活発に意見を交わし合うことで、顧客にとってメリットのある提案ができる。

あるONの日のタイムスケジュール

  • 5:30 起床。定番になっているこだわりの朝食メニューを夫と一緒に
  • 7:30 1時間の読書タイム。1日の中でも生産性の高い時間
  • 9:30 出勤、メールチェック、業務確認など
  • 10:00 新規業務についてのヒアリング、施策検討
  • 11:00 業務支援策の打ち合わせ、ランチ
  • 14:00 顧客企業訪問
  • 17:00 セミナーのコンテンツ作成やリハーサル
  • 19:00 帰宅。夫婦で夕食前のおやつタイム
  • 20:00 夕食、テレビでリラックスタイム
  • 23:00 就寝

対話で顧客の世界を塗り替える!コンサルの可能性は無限大

メディヴァを理想の職場と話す江龍さん。48歳の転職に戸惑いはなかったのでしょうか?
「思ったほどなかったです。親友とも話し続けた“働く人々の健康”というテーマの行く先に、メディヴァという会社があったのだなと」

 

そんなメディヴァでは、チームで動くことの意義を強く感じているそう。
「健康経営の支援は、その企業の風土を知るところから始まります。私一人で担当すれば偏った見方しかできないかもしれませんが、チームであれば別の側面から考えることもできますし、それにコンサルってやはりコミュニケーションなんです」

 

顧客によっては、いくら提案をしても行動変容につながらないことも。江龍さんは正論で人は動かないと話します。
「対話を道具に、相手が変容を受け入れるポイントを探っていく。チームメンバーの多角的な視点がここで役に立ちますし、コーチングで学んだスキルはもちろん、自身のオープンマインドな性質や顧客先の風土など、すべてを統合して提案につないでいきます」

 

顧客のために努力しても、報われないときはどうするのでしょうか?
「会社は、私たちが“本当にやりたいこと”を提案の条件にしてくれます。たとえすぐに顧客に受け入れられなくても、やりたいことを追求できていたら、その熱が伝わることもありますから」

 

これからの夢は

働く人には、ストレスをためず本心でいられる環境で過ごしてほしいと話す江龍さん。
「その人らしくあるためには、心身の健康を保てる環境が必要。まだまだこれからですが、小さな本音を出せるクラスターを増やすお手伝いをしていきたいですね」

【写真左上:手帳ノート】書き残したアイデアを、いつの間にか実現していることも。

【右上:ターコイズのピアス】大事な提案のときには、コミュニケーションを司るターコイズのピアスで。

【左下:ノートPC】仕事の必需品であるノートPC。どこでも作業ができるよう、移動先にも必ず携帯。

【中央:3色ボールペン】看護師時代の名残で3色を使用。減りやすい黒の替え芯は常備している。

【右下:アロマオイル】気分に合った香りをハンカチに落とすと、仕事中もリラックスできる。

夏の間は金曜の夜に東京を出て、富士吉田の別宅へ。じゃがいも、玉ねぎ、にんじんをはじめ数十種類以上の野菜を栽培する。味が濃く、においが強いのが手づくりの野菜の特徴。

あるOFFの日のタイムスケジュール

  • 8:00 起床。ゆっくり朝ごはんをとる。畑でいただくお弁当づくり
  • 10:00 畑へ。一週間分の変化を確認し、苗床をつくる
  • 12:00 ティータイムの後、植え付け作業
  • 13:00 畑でお弁当。その後、種まきや収穫作業
  • 15:00 畑仕事は終了。資材や食料の買い出しへ
  • 17:00 家に戻り、コーヒータイム
  • 19:30 焼き野菜やサラダ、おつまみメニューと甲州ワインで乾杯
  • 21:00 まったりリラックス
  • 24:00 就寝

無理をしないから続けられる、週末限定の都心×地方の2拠点生活

結婚後に始めたという、東京と富士吉田の2拠点生活。週末は別宅で畑仕事に没頭しているそう。
「農地は700坪ほど。週末だけのほったらかし農業ですが、のんびり野菜を育てています。これからの季節は、ピーマンにトマト、かぼちゃなどが収穫できますよ!」

 

土曜の夕食は、収穫した野菜をグリルし、とっておきのワインと愉しむのがお決まり。
「土いじりに夢中になっていると、煮詰まっていた仕事のアイデアがフッと湧いてくることも。あとは、冬場はオフシーズンなのもいい。夫とも農業は、無理のない範囲と決めていて、結果的に畑仕事が休息時間になっています」

【写真左上:朝食】魚をメインにしたこだわりの朝食メニューは夫妻のお気に入り。

【中央:甲州ワイン】テイスティングしながらじっくり選んだものを旦那さんとともに。

【右上:体重計】体調のバロメーターとして朝晩測るのが習慣。

【左下:畑用のチェアセット】畑仕事に必須。ランチタイムや休憩はここでゆったりと。

【右下:信楽焼の茶碗】畑仕事が終わったら、信楽焼の茶碗でカフェオレを注いで休憩。

これからのやりたいことは

夫妻は昨年、親類の空き家をリフォームし、養護施設で育った女性が暮らせるシェアハウスにしたそう。「我が家には子どもがいないし、何かしら若い世代に協力したいという思いがありました。今後は彼女たちとの関係づくりが楽しみです」

インタビュー*編集後記*

子どもの頃からムードメーカー的な性格だったという江龍さん。人好きのする笑顔の一方で、看護師の職に安住せず理想を追求する姿から、人々の健康への関心と、慈愛の気持ちを垣間見ることができました。2拠点生活でオンオフのバランスをとるライフスタイルも現代的です。

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