北欧スタイルのコーヒーブレイク「フィーカ」を楽しもう!
スウェーデン人のライフスタイルは、「Lagom(ラーゴム)」という言葉で表されています。
ラーゴムは、「少なすぎず、多すぎず、ちょうど良い」という意味です。つまり、程よく、無理せずに、自分らしく生きていくということです。
それは、スウェーデンのパン作りにも言えることかもしれません。
筆者の友人でパン屋になりたかったスウェーデン人の大学生、エリックが教えてくれたパンの作り方をご紹介したいと思います。やさしくとてもシンプルですので、これなら日常的にパン作りができると思わせてくれる方法です。
<エリックのパン 作り方>
- ボールに生イーストを指で小さくちぎって塩をまぶし、少し置きます。
- 次に小鍋にバターを入れ溶かしてから、牛乳を加えます。人肌に温めるのですが、温度計は使わず、右手を軽く握った状態で、人差し指を小鍋に浸すことで、温度を確かめます。
- 塩と生イーストを入れたボールに、適温になったバターと牛乳を加え、砂糖とカルダモンを加えます。
- そこに小麦粉を始めはホットケーキの生地くらいの柔らかさになるまで加えます。その後耳たぶの固さくらいになるまで小麦粉を加えます。
- 最初は木べらで混ぜますが、その後は手でこねます。生地が指にくっつかなくなり、しっとりとつややかになったら、ひとかたまりにまとめます。
- 布巾を掛けて40分置きます(一次発酵)。成形後、さらに20分ほど置きます(二次発酵)。
- オーブンで焼きます。
生イースト、しかも50gのイーストを一度に使い切るため、パンを一気にたくさん焼くところが、日本におけるパン作りと違います。スウェーデンの家庭にあるオーブンはとても大きく、天板も日本に比べると倍近い大きさのため、一度にパンをたくさん作るのに適しています。
この量を日本で作るとなると、材料の調達や発酵場所の確保、オーブンをフル活動させること、50個近くのパンを冷やす場所や保管場所の確保等が必要となります。家族で一緒に作ったり、パーティーを開いたりするときには楽しいかもしれません。
スウェーデンのパンの特徴は、生地にカルダモンが入っているため、独特の風味がします。また重くてどっしりとしていて、お腹にたまります。日本のふんわりして柔らかいパンとは異なります。
日本では午後3時におやつを食べますが、スウェーデンには午前10時と午後3時にコーヒーを飲みながら甘いものを食べる習慣があります。「スカ ヴィ フィーカ」という言葉を合図に、一旦手を止めて、コーヒーと甘いものをいただきます。このリフレッシュタイムを「フィーカ」と呼ぶのですが、 この「フィーカ」に欠かせないのが「ブッレ」です。正式には「Kanelbulle(カーネルブッレ)」といい、スウェーデンのシナモンロールのことです。この「ブッレ」は、どこのパン屋さんにもスーパーにも必ず置かれていますが、スウェーデンでは「ブッレ」を手作りすることが多く、家庭ごとにオリジナルのレシピがあるため、少しずつ味が異なります。
この「ブッレ」をたくさん作って、皆で食べるのです。余ったときには冷凍して、ストックしておくこともできます。
「ブッレ」は保育園やプレスクールで、先生方が子どもたちを戸外へ散策に連れ出すときのおやつとしてもよく持っていきます。子どもたちは「ブッレ」を、夏はベリーで作られたサフトというジュースと、冬はココアと共にいただきます。片手でさっと食べられるので、戸外で食べるのに適しています。腹持ちもよく、エネルギー補給にもとてもすぐれています。
今回は、手ごねで作りやすい分量で作り方を紹介します。
※スウェーデンでは、生イースト50gを一度に使い切るために以下のレシピの4倍の量で作ります。
「ブッレ(シナモンロール)」12個分の作り方
<材料>
パン
- 強力粉 200g
- ドライイースト 小さじ1
- 砂糖 25g
- 塩 小さじ1/4
- 牛乳 125ml
- バターorマーガリン 5g
- カルダモンパウダー 小さじ1/2
フィリング
- バターorマーガリン 適量
- シナモンパウダー 適量
- グラニュー糖 適量
- 〈仕上げ用〉
- 卵(全卵)1個
- パールシュガー(日本では手に入りにくいため、パンが焼き上がってから、粉砂糖を上にかけても良いでしょう。)
【作り方】
- 牛乳とバターorマーガリンを小鍋で人肌(約37度)に温めます。
- 強力粉、ドライイースト、砂糖、塩、カルダモンパウダーをボールに入れます。
- 2に1を加えます。最初は木べらを用いて混ぜていきます。ある程度混ざってきたら、粉っぽさがなくなるまで、手でこねます。指にくっつかなくなり、しっとりとつややかになるまでこねます。
- 3にラップを軽くかけ、暖かい場所に40分置きます。(一次発酵)
- 4をまな板の上に縦20cmx横25cmの大きさになるように広げます。
- パン生地にバターorマーガリンを塗ります。その上にグラニュー糖をまぶします。さらにシナモンをまぶします。
- ロールケーキのように手前から巻いていきます。それから約2cm幅で12個に切り分けます。(成形)
- オーブンの天板に、切り分けたパン生地の断面を見せるようにして、間隔を開けてのせ ます。ラップをかけ、さらに20分置きます。(二次発酵で2倍くらいの大きさになります。)
- 表面に刷毛で卵液を塗ります。刷毛がない場合はスプーンでも大丈夫です。その上に パールシュガーを散らします。
- 予め余熱していたオーブンに入れ、210~220度で10~12分焼きます。
- 焼き上がったら、布巾の上に置き、しっとりと仕上がるように冷めるまで、上から布巾を掛けておきます。
出来上がった丸くて渦巻き状の「ブッレ」はスウェーデンの定番の菓子パンです。
コーヒーだけでなく、紅茶や牛乳、ジュース等何にでも合います。慣れてきたら、いつでも簡単に手作りすることができるので、ぜひ作られてはいかがでしょうか。
そして、気の合う仲間と「フィーカ」をして、楽しい時間を過ごしましょう。あまり働き過ぎず、適度に息抜きをして、自分らしく過ごせたらいいですね。