今こそキチンと学びたいシニアのためのお金のはなし
「老後のお金が不安…」という方、必見!気になるお金の疑問を家計再生コンサルタントの横山光昭さんが解説します。
定年後も働く人が増加中
定年前から早めの準備を
今回は老後資金を確保する方法として、「収入を上げる」をテーマにお話しします。収入を上げるもっともシンプルな方法は、やはり定年後も働き続けることでしょう。内閣府が60歳以上の方を対象に行った調査によると、平成23年から令和3年の就業率は全体的に上昇傾向にあります。実際に私のところに相談に来る方も、定年を過ぎても共働きという方が多くいます。
ただ、再雇用や再就職は誰にでもできるわけではありません。もし定年後の再就職を検討している場合、定年間近の方であれば、事前に会社の再雇用制度を確認したり、再就職に生かせそうな資格の取得を検討したりと、対策を考えてみましょう。また、すでに定年後の方の場合は、これまでの経験が生きる業界での再就職や、パートやアルバイトなど働き方も幅広い視点で検討してみることをおすすめします。
定年後に働くなら知っておきたい!「在職老齢年金」のしくみ
再就職を考えている方は要注意!賃金と年金の金額によって、給付額が変わる可能性があるかも。制度の内容を詳しくご紹介します!
Q.定年後に働くともらえる年金が少なくなるって本当?
年金の受給額と賃金の合計が一定金額を超えると減額の可能性があります。ただし、対象となるのは厚生年金に加入する一部の人。また、アルバイトやパートで働く場合、労働時間の条件などを満たせば、厚生年金の被保険者に該当しない場合もあります。
令和4年に年金改革!年金減額の限度額が変化
定年後に働く際に注意したいのが「在職老齢年金」の制度です。在職老齢年金とは、定年後、働きながら受け取る老齢厚生年金のこと。定年後に厚生年金に加入し続けて再就職や再雇用で働く場合、「厚生年金の金額」と「1カ月分の給与」の合計が47万円を超えると、年金が減額されます。また、場合によっては全額支給停止となることもあります。ただし、この制度の対象となるのは厚生年金に加入している一部の人で、自営業やフリーランスは対象となりません。
年金減額と聞くと恐ろしい制度のようですが、じつは昨年制度が大きく緩和され、人によってはメリットもあります。
以前は、60~65歳未満は28万円、65歳以上は47万円が限度額でしたが、昨年4月以降は60歳以降は限度額47万円に統一となりました。そのため、人によっては年金の減額なしで働くことができ、これまでよりも年収が上がることもあります。