2020.10.18 UP
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社会貢献、高齢者支援、豊かな暮らしを考える【スペシャルトーク】

プロレスラーとして一時代を築き、現在は文化人として社会貢献に力を入れている小橋建太さんと、本誌「めりぃさん」の発行人の後藤康太さん、そして福祉用具プランナー、かながわ介護予防・健康づくり運動指導員などの顔を持つ吉川亮さん(メディケアー)の顔合わせが実現。高齢者支援、子どもたちの支援など、社会貢献に関しての意見を交換しました。

小橋建太(こばし・けんた)

1967年、京都府福知山市出身。全日本プロレス、NOAHで活躍し、三冠ヘビー級王座、GHCヘビー級王座などを獲得。ひざの大ケガや腎臓がんを克服するなど、「鉄人」と呼ばれた。2013年に現役を引退後は文化人として幅広く活動している。

『自分の健康は自分で守りましょう、
と高齢者の方に発信して
ジムを始めました(小橋)』

 

後藤 本日はよろしくお願いします。小橋さんはいつからジムの運営をしているのですか?

 

小橋 2018年からエニタイムフィットネスのオーナーになりました。2013年に現役を引退してから、自分のジムを持ちたいというのが一つの夢だったんです。今は高齢化社会で、60歳以上の方の割合が3人に1人くらいになっています。そうしたこともあって、2年前に60歳以上の方たちに「自分の健康は自分で守りましょう」と発信して始めたんです。実際、60代以上の方も数多く会員になってくれています。メディケアーさんも、高齢者や障がいを持った方に向けての様々な支援をしているのですよね?

吉川 我々が主に行っているのは、介護保険を使った福祉用具のレンタルと販売、そして住宅改修です。ご高齢の方でも手すりがあれば安全に生活ができたり、歩行器があれば近くのスーパーまで買い物に行けたり、角度や高さを変えられるベッドがあれば、一人で寝起きができる。そういう環境を整えてあげれば、末永くご自宅で安全に生活ができると思うので、そのようなサポートをしています。

 

後藤 若いときは普通にできたことが、年を重ねたり、ケガや病気をしたりしてできなくなってしまうことがあります。もう一度できるようになりたいという方をサポートしていくのが我々の仕事です。

 

小橋 自分も若いときはベテランの先輩を見て、なんでこんなことができないのかな?と思うこともあったんですけど、年齢を重ねるとできなくなることがあることも知りました。ひざが悪くて今年の2月に人工関節の手術をして、しばらくは杖をついて歩いていたんです。福祉用具でサポートしてもらえると、自分でいろいろなことができるし、そういうサポートというのはすごくありがたいことですよね。

 

後藤 一人ひとり体格や性別も違いますし、どこが痛いというのも違うので、向き合って話を聞いて、その方に合ったものを提供するということが大事ですよね。

 

小橋 前号の後藤社長のインタビューで「ご利用者様からいただく『ありがとう』の言葉ほど嬉しいものはありません」という言葉を見ました。僕もこれは本当にその通りだなと思いました。自分のプロレス人生はファンのみんなが支えてくれたという思いがあるので、その思いは忘れることはできないし、忘れていけないと思っています。感謝の気持ちというのはすごく大事ですよね。妻や子ども、家族に対しても「ありがとう」という言葉を言えるときに言おうと心がけています。

 

後藤 お客様の「ありがとう」がやり甲斐になる。自分を必要としてくれている人がいると思うと、頑張ろうという気持ちになります。

 

吉川 こちらが提案した用具を使ってくださった方が、喜んでくれるのも嬉しいのですが、ご本人様だけでなく、介護しているご家族の方の負担も軽減されて、温かい言葉をかけてもらえると、本当に良かったなと思えますよね。

 

 

『障がいを持った子どもたちが
自立できるような
支援もしていきたい(後藤)』

 

小橋 自分はひざのケガで動けなくて介護してもらった経験があります。介護されている人は感謝の気持ちはあるんですけど、思い通りに動けなくてイライラしてしまうことがある。介護している人はそれによって疲れてしまったり、嫌になってしまったりということもあると思います。そういうときにはどんなアドバイスをしているのですか?

 

吉川 僕らは福祉用具の会社なので、何かの用具を入れることによって、介護者の方のお手伝いなしでできることを一つひとつ増やしてあげるのが大事だと思います。そうすればご本人様とご家族様の衝突やイライラの解消につながっていくと思います。

 

小橋 自分は今53歳。ケガをして思うように動けなかったり、苦しんできたからこそ、健康の大切さというのはすごく理解しています。現在平均寿命は80歳を超えていますが、寝たきりだったり元気ではない時間が延びただけでは、幸せとはいえないと思うので、健康寿命をより平均寿命に近づけていく取り組みが大事だと思っています。そうした取り組みというのは何か考えていらっしゃったりしますか?

 

 

後藤 シニアの方をサポートする取り組みとして、「予防体操教室」というものを行なっています。ご高齢の方は身体を動かさないと、筋力も落ちていくので、座りながらでも関節を動かしましょう、運動をしましょうという体操です。健康寿命を延ばす取り組みですね。そうは言っても年齢を重ねるなかで、できなくなったことがあったら、そのときは用具を使って生活をサポートできればと思います。

 

小橋 補助用具があったとしても、自分で動くことができれば健康には良い効果がありますよね。サポートってすごく大事だと思うんです。試合で苦しいときに、ファンのみんなから「小橋」コールで応援してもらうと、ポパイのほうれん草ではないですけど、すごく力が出たんです。用具のサポートがあって動くようになれば、脳にもいい刺激があったり、身体の違う場所にも良い効果が出るかもしれませんね。

 

 

『用具を提供し、
ご本人様だけでなく、ご家族の方に
喜んでもらえるのも嬉しい(吉川)』

 

 

吉川 小橋さんの試合にはいつも勇気を貰っていました。

 

後藤 ご高齢の方だけでなく、未来を担う子どもたちの支援もしていきたいと考えています。そのなかで、障がいのある子どもたちを対象とした放課後デイサービスというものも行っています。障がいのある子たちも大きくなってくると、親はその子の自立を考えます。みんなそれぞれ強みは違うと思うので、特性を生かしてあげて、その強みの中で自立できるような支援がしたいと思っているんです。ご両親も年を重ねていくと、子どもを助けることができなくなって心配も大きくなると思います。だからこそ、そういう部分のケアもしていきたいんです。

 

小橋 素晴らしいお考えですね。僕も自分が腎臓がんになった経験から、「がんの子どもを守る会」を応援していて、そういう子どもたちを支援する活動をしています。来年3月開催予定の東京マラソン2021では、がんの子どもを守る会の代表として、チャリティーアンバサダーを務めることになりました。僕もこうやって社会に恩返ししていきたいと思っているので、後藤社長の社会に還元していきたいという気持ちにはすごく共感します。今日お話しさせていただいて、根底の部分はつながっているというか、共通する部分が多いなと思いました。

 

後藤 何年か前に障がいを持ったお子様とご家族150人くらいの方が参加して、登山家の方に協力をしてもらって金時山に登ったことがあります。その過程では大変なことも多々ありましたが、参加した家族の方から、「自分たちだけではできないこういう企画をしてくれて本当にありがとうございました」という言葉をいただいたり、手紙を貰ったりして、本当に元気が出ました。やって良かったなと思いました。

 

小橋 そういう思いはきっと伝わるんですよね。一つひとつ積み上げていくことで、大きなエネルギーになっていくと思います。これからもお互いに頑張っていきましょう。

 

撮影/土屋哲朗 取材・文/佐久間一彦

後藤康太(ごとう・こうた)

ては〜とホールディングス代表取締役。1973年、神奈川県藤沢市出身。30歳のときに実家が経営するメディケアーに入社。37歳で代表取締役に就任し、以後M&Aによる規模拡大を進め、現在は19ヶ所の事業所があり、東京、千葉にもグループ会社を展開している。

吉川 亮(きっかわ りょう)

メディケアー大和事業所所属。1980年、神奈川県平塚市出身。2009年にメディケアーに入社し、現在は神奈川県の大和市を中心に福祉用具専門相談員としての業務に就く。

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