膣ケアって何ですか? | トラブル解消だけじゃない、アンチエイジングのカギ
「膣も老化する、と聞くと驚かれるかもしれませんが、年齢を重ねれば体のいたるところが変化するのは当然で、膣まわりも例外ではありません」と森田さん。
「膣まわりの老化現象には、乾燥・かゆみ・はれや灼熱感・分泌物の減少・匂い・頻尿や尿漏れ・性交痛・膣の萎縮などがあります。これらは更年期後から急速に進みますが、老化だからと諦める必要はありません。正しいケアでいくらでも改善できるのですから」
森田 敦子
もりた・あつこ●植物療法士。大学卒業後、客室乗務員を経て植物療法を学ぶために渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を学ぶ。植物療法専門校「ルボア フィトテラピースクール」主宰。著書に『枯れないからだ』(河出書房新社)、『自然ぐすり』(ワニブックス)など。
「ケアの前に、まずはおりものや月経、月経が終わった方は膣まわりが乾燥していないかなど、今の状態を自分でしっかり把握することが大事ですね」
きちんと自分の体と向き合うことが基本中の基本とのこと。
「膣まわりは専用の洗浄剤を使ってていねいに洗浄することと、専用の保湿剤やオイルを使ってしっかり保湿することが大事です。デリケートゾーンのケアは安全なの?と思う方もいるでしょう。専用のケア商品で行えば、きわめて安全です。逆にボディソープでゴシゴシ洗うなどは膣の持つバリア機能を破壊してしまうので、避けてくださいね」
そして膣ケアには、実はもう一つ重要な役目があるといいます。
「将来、介護を受ける立場になったときのためです。介護で最も大変なのは、〝シモの世話〟の問題。トレーニングによって骨盤底筋を保てば、それだけ長く自立した排泄をキープすることができます。また高齢になり、おむつのケアを受ける状態になったとき、膣まわりの乾燥がひどいと切れて痛みが出ることもよくあります。そうならないためにも、膣まわりのケアで潤いと弾力のある状態を保つことが大切なんです」
排泄介助で痛みや不快感を覚えても、口にできない女性は多いのだとか。
「介助されているのだから仕方がないとか、恥ずかしくて言えない、という人が多いですね。そうした不快感が一因で認知症が進んでしまうこともあります。4人に3人はオムツが必要となり、2人に1人は介護施設や病院で亡くなる時代。人にゆだねる心構えと膣ケアの習慣化で、準備をしておく必要があると思います」
更年期の症状は人によって様々です。体調不良を繰り返して辛そうな人もいれば、閉経を感じさせないほど元気な人も。膣まわりを含む体のケアで、少しでも「更年期」を「幸年期」に近づけていきましょう。
手を清潔にし、ぬるめのシャワーでデリケートゾーンを流したら、専用の洗浄剤を泡立て、大きなひだ(大陰唇)と小さなひだ(小陰唇)を洗い、ひだの内側など細かい部分の恥垢(白いカスのようなもの)もていねいに落とす。肛門まわりも同様に汚れをしっかり落とす。外出時は専用のシートの利用もおすすめ。
入浴後はすぐに保湿を。大事なのは、膣まわりに水分が残った状態で保湿することと、専用の保湿剤やクリームを使うこと。軽く水分が残った状態で保湿剤を塗布すると、成分が乳化して肌となじみやすくなり効果が高まる。最初は膣の外側や肛門まわりから始め、慣れてきたら膣の内側も専用オイルで保湿する。
左. 肌を保湿しながら洗うリキッドソープ。アンティーム フェミニン ウォッシュ(120㎖)2000円+税/アンティーム オーガニック
中. ローズの香りの保湿・潤滑ジェルローション。アンティーム ローズローション(100g)3000円+税/アンティーム オーガニック
右. ムレやにおいをさっと拭き取り、そのまま流せる洗浄シート。アンティーム ハイジーンシート(12枚入)1500円+税/アンティーム オーガニック
A.アンダーヘアがあると膣まわりのお手入れがしにくく、洗い残しや拭き残しがムレやかゆみの原因に。ですので、私はアンダーヘアは不要だと考えています。ない方が膣まわりを清潔に保て、保湿クリームも浸透しやすくなります。また将来、排泄介助が必要になったとき、ヘアがなければ介助は圧倒的にスムーズになり、介助をする側、される側、双方が気持ちよく過ごせます。そのために脱毛をする方も増えています。
ぜひ信頼できるサロンや医療機関に相談をしてみてください。
A.日本では膣まわりの話がタブー視され、正確な知識が伝わりにくいため、頻尿や尿もれ、かゆみやニオイ、さらには骨盤臓器脱まで、トラブルを一人で抱え、「年だから仕方ない」と諦めている方も多いのでは。でも毎日のケアで予防・改善できることもたくさんあります。まずは自分の体としっかりと向き合いましょう。そして症状がよくならない場合は受診を。閉経しても婦人科とサヨナラではありません。更年期症状、女性特有の疾病、アンチエイジング全般について相談できる「マイ婦人科」を探してみてください。