ぺこっと通信 ~人見知りっ子とおばあちゃん~
こんにちは。
筆者は保育園で働いているえぬこと申します。
今回より、日々の子どもたちや保護者との関わりで印象に残った「ほっこりエピソード」を紹介させていただくこととなりました。
タイトルの「ぺこっと通信」は、園でよく見られる光景である子どもたちが「ぺこっと」おじぎをする仕草からアイデアを得ました。
私が働いている保育園では、子どもたちは小さい時から絵本を読んでもらった時、お友達におもちゃを借りた時など小さなことでも「ありがとう」とお礼を言い、おじぎをしています。
1歳になったばかりのお子さんでも、保育士の真似をしてぺこっとおじぎをするんです。
もちろん強制してやっていることではないですが、小さい頃から礼儀作法を自然に身に着けていくことで将来的にも長く役立つだけでなく、相手に対し思いやりを表現できる優しい心が育ちます。
私が担任を持っているのは0歳児クラスです。
0歳児クラスといっても、生後2か月~1歳11か月の子(今年度は平成31年4月~令和2年3月生まれ)が対象であり、首の座らない赤ちゃんもいれば一人歩きができる子など様々な成長度合いの子どもたちが一緒に過ごします。
ぺこっと通信、第一回は、人見知りが激しいお子さんと「孫に泣かれる…」と不安そうだったおばあちゃんのお話です。
在園されているお子さん(2歳男の子)の妹が新しく保育園に入所することになり、妹が入所する数日前、お兄ちゃんのお迎えにおばあちゃんが来ていた時のことです。
今後もお母さんが忙しい時はおばあちゃんがお迎えに来ることもあるようで、妹の担任となる私は、おばあちゃんに挨拶をしました。
私 「こんにちは!Yちゃん(妹)の担任になるえぬこです。来週からよろしくお願いします」
祖母「よろしくお願いします。実は、まだYをうちで預かったことがないんです。いつも娘と一緒には来てるんだけど…。あの子よく泣く子だからずっと泣かれるんじゃないかと思って心配で…」
Yちゃんは1歳になったばかりで人見知りが激しいのだそう。
人見知りは、個人差が大きいですが一般的には生後8か月頃から始まり、1~3歳頃に終わる子が多いと言われています。
相手の顔をじーっと見つめるだけで泣かない子もいますが、1歳頃の人見知りは大きな声をあげて泣いてしまう子がほとんどです。
おばあちゃんは送迎や、母が仕事から家に帰ってくるまでの間の時間が心配だと言っていました。
数日後、妹ちゃんが入所して慣らし保育がスタートしました。
保育園に入所してすぐは環境の変化で子どもがストレスを感じやすい時期であり、慣らし保育は、徐々に保育園にいる時間を延ばして少しずつ慣れてもらうために行います。
慣らし保育の間はお母さんが送迎してくれていました。
Yちゃんにとっては初めてお母さんと離れて過ごす時間。
とっても不安だったようで、慣らし保育の間中はずっと泣いており、給食も食べられないほどでした。
だからこそおばあちゃんも心配していたのだと思います。
ですが、慣らし保育が終わって数日経った頃には徐々に慣れてきて、保育士に抱っこされていると落ち着いていられる時間も多くなってきました。
ある日、ついにおばあちゃんがお迎えに来てくれました。
Yちゃんの表情はこわばり、保育士がおばあちゃんに引き渡そうとしても、必死にしがみついてなかなか離れようとしません。
なんとかおばあちゃんに引き渡すもYちゃんは激しく泣いていました。
その後もおばあちゃんがお迎えに来る度に泣いて帰る、ということが続きました。
しかし、おばあちゃんは泣かれてもめげずに何度もお迎えに来てくれました。
2か月くらい経った頃には、Yちゃんは笑顔でおばあちゃんのもとへ行くように。
お迎えの時いつも不安そうだったおばあちゃんにも笑顔が見られ、おばあちゃんの愛情がしっかり孫へ伝わったんだな~と感じた瞬間でした。
赤ちゃんが人見知りをするのは、ママと他人との区別ができるようになったという成長の証。
ママ以外の人への好奇心と恐怖心がせめぎあい、どうしていいか分からない、という状態です。
好奇心が強い子ほど、人見知りが激しくなると言われています。
人見知りで泣かれるとママが気まずい思いをしてしまうこともあるかもしれませんが、どんなに人見知りが激しくても人に会う機会を減らさないことが大切です。
赤ちゃんは慣れない場所では人見知りが強くなる傾向があるため、慣れない場所に行くよりは自宅に来てもらったほうが落ち着きます。
また、赤ちゃんはママの表情や反応をよーく見ているため、ママがリラックスして楽しそうに話をしている姿を見ると安心します。
遠方の祖父母や両親、義両親などにも人見知りが激しい場合には、会う前から写真を見せておいたり、ビデオチャットで顔を合わせておくと良いでしょう。
Yちゃんはすっかり人見知りを克服したようで、今ではおばあちゃんが迎えに来るとお兄ちゃんと一緒に廊下を飛び跳ねて喜び、ニコニコ笑顔で帰っています。