老後のお金についてぜ~んぶ聞いてきました
イラスト/南 佳奈江
いずれ迎える老後の生活を考えたとき、必ずつきまとうのがお金の問題。
誰もが気になる年金について、お金のスペシャリスト・浅尾慶一郎さんに伺いました。
浅尾慶一郎さん
あさお・けいいちろう●58歳 東大法学部卒、参議院議員2期、衆議院議員3期つとめる。介護・福祉で働く方々の「所得を増やす」ことにも全力で取り組む。質問はTwitter「#あさお慶一郎に質問」でいつでも誰でも受付中。
年金が減ることや制度が破綻することはありません
50代の女性が抱えるお金の悩みを調査すると必ず上位にあがってくるのが、老後のお金をどのように工面するかということ。
年金だけで暮らしていけるのか? 老後、貯蓄が尽きてしまわないか?など、抱く悩みはさまざまです。
「年金は払うだけ損、制度自体が崩壊するなど、いろいろと報道されることがありますが、ただ一つ、はっきりと言えるのは、払っていれば年金は必ずもらえるということです」
と言うのは、お金のスペシャリストの浅尾慶一郎さん。
2004年、政府は年金制度改革で「百年安心プラン」を打ち出しました。これにより、現役時代の手取り収入の50%を確保できる年金制度に…。
「この制度は物価が2%上がると、年金は1.1%増えるというように、物価が上がると年金も連動して増えるという仕組み。体感ではなかなか増えているように感じられにくいかもしれませんが、物価が上がれば年金は増えます」
と浅尾さん。それでは実際に読者から寄せられた老後のお金に関する不安や疑問について浅尾さんにお答えいただきます。
お金の不安①
年金は一体いくらもらえるのでしょうか?
(55歳 T・Mさん)
年金に加入していると、毎年誕生月に「ねんきん定期便」がハガキや封書で送られてきます。ここにあなたが将来、受け取ることができる年金の見込み額が記載されているので確認することができます。
50歳未満の方は今まで納付した金額をもとに計算。50歳以上の方は、何歳からどの種類の年金がいくらもらえるか記載されています。もっと詳しく知りたい場合は「ねんきんネット」(https://www.nenkin.go.jp/n_net/)がおすすめです。
お金の不安②
本当に老後2,000万円は必要ですか?
(45歳 Y・Hさん)
2019年、金融庁の金融審議会『市場ワーキング・グループ』の報告書によって、老後30年間で約2,000万円が不足すると発表されたことで話題になったこの問題。
これはそもそも夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦の無職世帯で、夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間の年金から算出されたものです。
一概に2,000万円必要とはいえませんが、余裕をもって生活するには一人2,000万円の貯蓄があるとよいでしょう。
お金の不安③
定年後も働いたほうがよいでしょうか?
(58歳 T・Mさん)
再雇用制度で働いた場合、給料が下がることが多いため年金額には影響しないと思われがちです。
しかし、再雇用でも会社員は厚生年金に入って働くため、厚生年金加入期間が長くなり、結果、受け取れる年金の額は上がります。ちなみに厚生年金は70歳まで加入することが可能です。
お金の不安④
夫に先立たれた場合、遺族年金はどれくらいもらえますか?
(68歳 H・Iさん)
厚生年金に加入していた夫が亡くなった場合、全額ではないですが、妻が遺族年金を受け取ることができます。
「夫の年金の4分の3が遺族年金として受け取れる」は間違いで、夫の基礎年金分は受け取れません。
基礎年金は個人年金なので、夫が死亡すると消滅します。妻が受け取れる遺族年金の計算方法は左のとおりです。
お金の不安⑤
お金のことを相談できる相手がいません。どこか相談できる場所があったら教えてください。
(59歳 A・Sさん)
年金についての相談を無料でできる機関がないのが現状です。
日本年金機構が年金について不安を持つ方に相談会を無料で開くような制度をつくっていきたいと考えています。
遺族年金の目安はいくら?
【例】妻が専業主婦の65歳以上の夫婦の場合
年金受給額
- 基礎年金→6万円
- 厚生年金→0円
年金受給額
- 基礎年金→6万円
- 厚生年金→16万円基礎年金+厚生年金→22万円
① 夫の厚生年金の3/4
② 夫の厚生年金と妻の厚生年金の半分ずつ
③ 妻の厚生年金。
①~③のうちもっとも高い金額が自動的に選ばれる仕組みになっています。
遺族年金の計算式
- 16万円×3/4=12万円
- 8万円+0円=8万円
- 0円