私の家 大好きな場所ー旅する料理家・大前うららさん「キッチン」
家の中のお気に入りの場所。そこにいるだけで、ゆったりと気持ちが整う空間。
こだわりの場所を持つ方たちの、とっておきのお部屋を拝見しました。
撮影/楠 聖子、大前うらら(P15) 取材・文/新里陽子
これまで訪れた国は65カ国。
現地で購入した生活雑貨が、所せましと並びます。
「すべて思い出がつまっているもの。ここに立つだけで幸せです」
まるでレストランの厨房のようなキッチン。料理教室では生徒さんと作業台を囲む。
①本場で学び、現地の味に近づくよう研究したフランスパンは、パリッ、フワッと絶品。賑やかな各国の器や雑貨が並ぶ棚の横の、この位置に立つのが好きなのだそう。
②アメリカで購入した調味料入れの棚。キッチンツールはフランスの陶器の容器に「見せて収納」。
③その国の家庭でリアルに使われているツール類。しまい込まずすべて日常使いするのが大前さん流。
④たくさんある器の中で、特に思い入れのあるフランスとスペインにまたがる地方、バスクの柄。「素朴と洗練さが見事に調和しています」。
⑤集めているアンティークガラスのコースターの中には、日本製のものも。
⑥玄関に続く空間にも、ガラス製の棚がありヴィンテージを中心としたコレクションが並ぶ。
⑦教室で使うツール類はパリから持ち帰ったワイン箱に収納。
⑧ワゴンに並べられたキッチンツールの数々。ホコリよけも兼ねる布カバー、洗った後そのまま吊るして収納など、真似したいアイデアがたくさん。
⑨アメリカから持ち帰った牛乳瓶。中に入っているのは食洗機用の洗剤。見た目の楽しさはもちろん、使いやすさも増すのだとか。
⑩「フランスのお菓子屋さんで購入した、フランスパン用のエコバッグ。生徒さんに見せたら私たちも欲しいと言われて自作しました」。
⑪「かわいい缶は洗って、こうして道具入れに活用しています」。フランスのオリーブオイルの缶は、泡立て器を収納するのにジャストサイズ!
⑫フランス在住時代のアパートのらせん階段と同じ色のタイルを壁に敷き詰めて。
⑬真鍮のバーには各国で集めたふきんをかけています。実はふきんで隠れている部分には給湯器のパネルが。「生活感をちょこっと隠すワザです」。
「キッチンで使っているものの中で、特にお気に入りのものは?」
その質問に、大前さんがご自身で写真を撮って教えてくれました。
Photo by URARA
1.新潟県燕市の銅製やかん。美しい姿に惚れ惚れ。お湯が沸くのがとにかく早いのが気持ちいい。
2.ダンスクのミルクウォーマー。お弁当づくりなど少量の料理に重宝。ゆで卵1~3個の調理に愛用。
3.イタリアの漏斗。かわいいのでしまい込まず、さっと取れる位置にかけておけるのがいい。
4.スペイン、イタリア、ペルーのおたま置き。料理中におたまを置くという瞬間さえもうれしくなるかわいさ。
5.韓国のアルミザルとマッコリ用のカップ。ザルは足つきで安定感がよく、目がつまりにくく水切れがいい。
6.小さいまな板。極小サイズはイタリアで購入したものでにんにくを刻むのに重宝。大きいサイズは母のエストニア土産。
7.日本製の網タワシ。スポンジよりも水切れが圧倒的にいいので衛生的。一般洗い用、グラス用、手洗い用。
8.貝印の角鍋。焼き、蒸し、煮込み、さまざまな料理にヘビロテ。魚料理の際は丸い鍋よりも収まりがいいのが好き。
9.岩手県八幡平・平岡クラフト工房の木べら。鍋のあたりが気持ちよく、その美しい形状は料理をより楽しいものに。
大前 うららさん
おおまえ・うらら●旅行会社勤務を経て、イギリス、スペイン、フランスへ計8年間の食探求留学へ。ロンドンの製菓製パン学校で学び、首席で卒業。スペインの1年間は地方の郷土を探求。フランスではル・コルドン・ブルーで学び、アシスタントを経験の後、ホテル、レストラン、サロン・ド・テなどで研修および勤務。現在横浜にてハード系パン&世界の料理教室「ガストロノマード」を主宰。http://gastro-nomade.com/