効果をアップさせる湿布の選び方
病院に行くほどでもない軽度の肩こりや腰痛も、貼るだけで痛みを抑えることができる“湿布”。
ドラッグストアに行くとあまりにたくさんの湿布がずらりと並んでいて、何を選んだらいいのか迷ってしまうとき、とりあえずパッケージや価格でなんとなく選んでいませんか?
今回はこの“湿布”について、選ぶポイントを薬剤師の加藤優人さんに、効果のあがる貼り方を柔道整復師・鍼灸師の阪本敏宣先生に教えてもらいました。
撮影/YASAKU 文/池田 史(atrio) イラスト/maiko
かとう・ゆうと●宇都宮中央薬局管理薬剤師。NR・サプリメントアドバイザーの資格も有する。内科、循環器科、アレルギー科、小児科など、さまざまな科の門前薬局を経験。
湿布っていろいろな種類があって、迷ってしまいますよね。症状に関係なくどんな湿布でも貼れば治るというものではないんです。まずは症状にあわせて、温めて治すのか冷やして治すのかを判断することがたいせつなのだそうです。
湿布は大きく、温湿布と冷湿布に分かれています。温湿布は肩こりや腰痛などの慢性的な痛みをやわらげたり、血行の改善を行いたいときに使われることが多く、冷湿布は熱を持っていたり、痛みがある捻挫や筋肉痛のときによく使われます。湿布は全身に効く“飲み薬”の痛み止めとは違って、患部に直接貼って炎症や緊張を和らげるための“貼り薬”なので、副作用が起きにくいことが特徴ですが、何日も痛みが続いたり、痛みが悪化する場合は病院を受診することをおすすめします。
湿布は症状によって、温湿布と冷湿布を使い分けますが、素材面でも、プラスター剤(テープ剤)とパップ剤の2種類に分かれます。
プラスター剤は粘着性が高いので、よく動く関節部分に貼っても剝がれにくいのですが、長時間貼り続けるとかぶれてしまう場合があるので、こまめに交換が必要です。
パップ剤は水分を多く含んでいるので、患部の熱を下げるのに用いられますが、肌との密着性が低いため、ネットや包帯などを使うと剝がれにくく、固定されていいですよ。
プラスター剤(テープ剤)
肌色の薄いタイプ。粘着力が強くて、剝がれにくいのが特徴
パップ剤
厚手のタイプ。かぶれにくいけど、剝がれやすいのが難点
A.湿布の成分は、主に「消炎鎮痛効果」のある成分と、「温感」を与えるもの、「冷感」を与えるものの3つに分かれます。「消炎鎮痛効果」のある成分とは、サリチル酸メチルやサリチル酸グリコールなどです。また、「温感」を与える成分で代表的なものはトウガラシエキスで、皮膚を刺激して血行を促します。「冷感」を与える成分としてはメントールやハッカ油などがよく使われますね。この3種類の成分を中心に、配合の違いなどによって、湿布の効き目の強さやスピードが変わってきます。
A.他の湿布と比べてちょっとお値段が張るイメージがあるフェルビナクとインドメタシン。この2つの薬剤は、共通して“非ステロイド系抗炎症薬”という種類に分類され、通常の有効成分より強い鎮痛作用や抗炎症作用があることが特徴です。湿布の主成分は、非ステロイド系抗炎症薬に分類される鎮痛、抗炎症、解熱作用のある薬剤です。フェルビナクは、炎症と痛みに効く成分で、肩や腰・関節などの痛みに効果があります。皮膚から浸透しやすい成分ですが、持続時間はあまり長くないので、1日2回ほどの張り替えが必要です。インドメタシンは、鎮痛作用と抗炎症作用があり筋肉痛などには効果も大きいですが、副作用にも気を付けたい成分です。インドメタシンも、フェルビナク同様、1日2回ほどの張り替えが必要です。
A.湿布を貼ったときのニオイが気になって、日中湿布を貼ることを躊躇している方も多いのではないでしょうか? そんなときは、成分に注目して選ぶことをおすすめします。主に、ニオイに影響があるのはサリチル酸メチルとI‐メントールです。サリチル酸メチルは、抗炎症作用を持つ成分で、“サロンパスのニオイ”というと想像しやすいかもしれません。I‐メントールは、鼻にツーンとくるハッカのニオイです。気になる人は、ぜひ成分表をチェックしてみてください!