華道は初心者でも簡単にできる?~歴史と基礎を学ぶ入門編~
みなさんは華道に対してどんなイメージがありますか?
華やかで美しい・優雅というイメージがある一方、作法やルールが難しそう・自分にはできなさそうといったイメージもあるのではないでしょうか。しかし、華道は基礎が分かれば意外に簡単!大人の趣味として楽しむことができるのです。
ということで、今回は華道を始めたいと思っている方に向けて分かりやすく華道の歴史や基礎をご紹介いたします。
そもそも華道が誕生するきっかけには仏教が関わっているとされています。6世紀頃(飛鳥時代)に、仏教が伝来したことにより仏に花を供える「供花」というものが習慣化されるようになりました。
そこから人々は季節の花を生けるようになったとされ、1輪挿しなどを鑑賞するように変化していきます。
そうして華道という芸術が確立したのは室町時代。当時は上流階級の人や武家といった人たちしかできない芸術でしたが、次第に様々な流派や型が作られ江戸時代には庶民でもたしなむことができるものになり今日まで至ります。
さらに日本だけに限らず江戸時代末期頃から世界ではジャポニズムという日本芸術が流行。海外でも華道の文化が伝わり、ヨーロッパのフラワーデザインに大きく影響を与えたとされています。
華道は感覚やバランスが非常に重要な芸術ですが実は様々な流派や型が存在しており、華道をする際には必要な知識となってきます。流派はとても多いのですがその中でも三大流派と呼ばれるものが存在します!
それが、「池坊」・「草月流」・「小原流」
この3つは日本で最も代表的な流派ですので名前だけでも聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それでは池坊・草月流・小原流の各特徴と違いを見てみましょう!
池坊は華道が確立されてすぐにできた流派、つまり1番最初に作られ基本となったものです。そのため他の流派は「~派」と言われますが、池坊だけは~派という呼び方はしません。
池坊の特徴のひとつとして、自然を大切にするというものがあります。
きれいな花だけを使用するのではなく、枯れかけている花や虫食いで傷んでいる花なども使用し、花のあるがままの姿で作り上げていきます。
また池坊は華道の基礎とも言われる流派のため技法が特にしっかりと決められています。
池坊とはうって変わって草月流の特徴はかなり自由度の高い流派であることです。
生ける人の感性や個性を大切にし、花以外にも石を使用したりと作品によって印象がかなり違うところが草月流の面白いところですね。
19世紀末頃から始まった小原流ですが最大の特徴はお花を「盛る」ということです。みなさんも見たことがあるような、大きな器に剣山を使ってお花を盛っていくスタイルは小原流です。
当時では珍しい洋花を使った生け花を行い、時代と共に変化していく生活に合うよう作られており、この流派によりさらに多くの方が華道という芸術に魅了されていきました。
華道をするにあたっては必要な道具を準備しなければいけません。代表的なものでいうと…
花ばさみは生け花専用のはさみとなっており、花の長さを調節したりバランス良く配置していく際に必要になります。
ただし華道の教室などに通う場合ははさみをあらかじめ用意してくれている場合があったり、流派によって使うはさみを決められている場合もあるので教室に確認しましょう。
花材を生ける器は作品の雰囲気を左右する大切なものです。初心者の方はどんな花にも合いやすいシンプルな色や形の花器がおススメですよ!
花を花器に固定するために必要な道具を花留めといいますが代表的なものが剣山です。
剣山も様々なサイズ・形があるので最初は1種類でも良いですが数種類持っていると花器の大きさと合わせたり、作品の幅が広がり楽しいですよ。
上記のものは華道をする上で最低限必要なものですがこの他にも服を汚さないようにエプロンやジョウロ、教室に通う場合には花材を持って帰る花合羽や花袋と呼ばれるものもあるといいですね。
必要なものが分かっても「さぁ花を生けてください。」と言われるとなかなか難しいですよね。ということで簡単に説明すると花材にはそれぞれ役割があり特に骨組みとして使う花材を「役枝」と言います。
役枝は主に3つで構成されており、真(しん)・副(そえ)・体(たい)といいます。
※流派によって呼び方が違うので今回は池坊で呼ばれている呼び方で説明します。
まず花材として旬の花を揃えましょう。そして揃えた花材の中からメインとして生けたい花材を選び、選んだ花を真とします。正面から見た際に真の花材が奥側になるように生け、その手前にメインを引き立てる役割の副・体を順番で生けていきます。
長さは長い順に真・副・体となるように花ばさみで調節しましょう。さらに美しく見せるコツはこちらも長さ同様、真・副・体の順に角度をつけていくこと。
こうすることで基本的な形ができ、後は好みでバランスを見ながら花を足していくのみ!ただしここで注意なのが華道は「引き算の美学」と呼ばれているということ。
一般的なフラワーアレンジメントはボリュームを重要としているので花をたくさん使って華やかさを出していますが、華道はシンプルでありながらも儚さや繊細さを表現する芸術です。
空間もひとつの表現方法なのであまりにも華美にはしないようにしましょう。このようなちょっとしたコツや意識で素敵な作品にできあがりますよ。
せっかく作った作品がすぐに枯れてしまうのはもったいない。少しでも長く長持ちさせたいですよね。
そんな時には水揚げ剤や活力剤を活用しましょう!
これらを使うことでお花が水を良く吸ってくれて、元気になります。少しの工夫で長持ちさせることができるのでぜひやってみてくださいね。
お花は自然や四季を感じられるとても素敵な植物です。お部屋に1つ飾るだけでがらっと雰囲気も変わりますし、気分も上がりますよね。みなさんもぜひ大人の趣味として華道を始めてみてはいかがでしょうか?