『めりぃさん』の本棚 花本幸枝さんの心をほぐす一冊
撮影/角 朱里 構成・文/明滝 園 協力/大和出版
『めりぃさん』の読者におすすめしたい書籍をピックアップ!
今号は、素敵に年齢を重ねるお手伝いをする“グッドエイジスタイリスト”として活躍中の花本幸枝さんの一冊をご紹介します。
花本幸枝/著 大和出版 ¥1,650
おしゃれは「引き算」より「足し算」が鉄則
“手持ちの服は少なく、シンプルなほどかっこいい”。近年、このような言葉をよく聞きませんか?
「これが有効なのは、肌にツヤがある40代くらいまでです。それ以上になるとシンプルやベーシックは、むしろくたびれて見えることに気付きました。シニアが輝くためのファッションノウハウは別にあると気付き、まとめたのがこの本です」と花本さんは言います。
「シニアのファッションポイントは、足し算です。シミやしわで顔がくすんでくるので、レフ板効果の高い白を着ることをおすすめします。
さらに顔写りが明るくなるきれいな色を着るのも効果的です。今までよりも少し大振りのキラキラしたアクセサリーをつけて、顔周りに輝きを足すのもおすすめ。
また、若い頃は派手に見えたものも、年齢を重ねることでゴージャスに品よく似合うことに気付かれるはずですよ」
老いの象徴のようにいわれる白髪も、実は味方になるそうです。
「女性は、老けて見える以上に気になるのが“若づくり”です。きれいに染めた栗色の髪に赤い口紅だと、頑張っておしゃれをしている人に見えますが、グレイヘアだとどうでしょう。白髪なだけで、どんなファッションでも“若づくり”には見えませんから、自分らしいおしゃれを楽しめますよ」
年齢を重ねるからこその楽しみ方があるという花本さん。では、今日から自分らしいおしゃれを楽しもうと思ったら、何から始めればいいのでしょうか?
「アクセサリーやスカーフなど、小物をチェンジしたり、取り入れてみたりしましょう。若い頃に使っていたものやお母さま、おばあさまのものを活用してもOKです。あとは歩きやすくておしゃれな靴があるとコーディネートがまとまりますね」
女性は役割にとらわれずもっと自分を楽しんでいい
女性はこれまで妻として、母としてなど社会的な役割に縛られ、そしてその役割に適した服装を求められてきた傾向があります。花本さんは、そのような役割から解放される60歳以降は、自由に自分を楽しめる年代だといいます。
「60歳以降は家族や、社会の役割から解放され、自分へのご褒美の時間と考えてよいのではないでしょうか。おしゃれをして気分が上がれば、言動も自然と変わりますよね。ポジティブな言葉が多くなったり、人にやさしくできたり。
以前、くも膜下出血で倒れた母は、治療中もずっとイライラしていました。そんな母がお気に入りの服を着たとたん、パッと笑顔になったんです。好きな服を着るだけで人の気持ちや表情はこんなに変わる。そのときにファッションの力を実感しました」
「人生の経験は顔やファッションに出る。美人でなくても、素敵な人になれますよ」という花本さんのひと言が印象的でした。
花本 幸枝さん
はなもと・さちえ●1961年生まれ。株式会社ワールドでブランド開発、マーケティングに携わったのち独立。近年はグレイヘアスタイリストから始まり、シニア向けのグッドエイジングスタイリストとして一層活躍中。