肩こりに効果的な筋膜リリース
今回は肩こりシリーズの第3弾です。これまで「肩こりグッズ」や「鍼灸」「歯ぎしり」についてご紹介しましたが、今回は「筋膜リリース」です。
筋膜とは?
筋膜とはその名の通り筋肉を包んでいる膜のことです。
鶏肉を調理するときに、皮をめくると薄い膜があります。これも筋膜です。実際にはこの皮膚と筋肉の間にある膜のほかに、筋肉の小さな束を包むような筋膜などもあります。筋膜はとても薄い膜ですがすべりがよく、筋肉同士の動きをスムーズにする役割があります。
ところが、この筋膜同士がくっつく(医学的には癒着(ゆちゃく)といいます)とそれぞれの筋肉が引っ張り合う形になり、筋肉の動きが悪くなります。
例えば背骨と肩をつないでいる僧帽筋(そうぼうきん)は首や肩甲骨の動きを担っています。肩甲挙筋(けんこうきょきん)はうなじのあたりの首の骨と肩甲骨の内側上の部分をつないでいる筋肉で、僧帽筋よりも深い位置にあります。
この2つの筋肉は首をすくめるときなどには同時に動く必要がありますが、僧帽筋は横に伸び縮みしているのに対して、肩甲挙筋は縦に近い動きをします。
この2つの筋膜がもしくっついてしまうと筋肉同士が引っ張り合うことになります。僧帽筋と肩甲挙筋は1例ですが、特に首や肩回りには多くの筋肉が集まっており、それぞれの向きに縮むことによって肩の複雑な動きしているので、癒着していると動きが悪くなったり、肩回りの血流が悪くなったりして筋肉に疲労物質が溜まりやすくなるのです。
筋膜リリースという言葉を知って、まず私はその名の通り「筋膜リリース」を行っているエステに行きました。私が受けたのは筋膜に沿って指で強く皮膚をなぞるものです。筋膜を伸ばすイメージですね。終わった後は皮膚が引っ張られた赤い跡が残るくらいの強さで行われましたが、でも思ったよりも痛くはありません。
ただ5回ほど行ったのですが、長年蓄積した私のコリはなかなか改善しません。筋膜を押さえてくださる施術者の指のほうがポキポキ音がするくらい、私の筋肉は硬かったのです。
電流の力で深い部分の筋膜リリースも可能な「ラクリス」
そこで、次にたどり着いたのが電流の力で深い部分の筋膜リリースも可能な「ラクリス」です。「ラクリス」は日本人医師が開発した機械で、目的の筋肉に電流を流すことで短時間で深い位置の筋膜を刺激することができます。まだ新しい機械なので、目にすることは少ないかもしれませんが、一部のエステサロンや接骨院などで受けることができます。私のしつこい肩こりにはハンドの筋膜リリースよりもこちらのほうが合っているのではないかと思い、ラクリスを体験してきました。
ラクリスは全身の筋膜リリースが可能ですが、肩周りは座った格好で行いました。施術者がコードのついた手袋を両手にはめて、ゼリーを塗って肩周りを両手で触ります。おそらく片方の手袋から反対の手袋に電流が流れていると思うのですが、手のひらなど広い面で触られるとあまり電流は感じず、ゴワゴワしたタオルで触られているような感じです。逆に指先などピンポイントで触られると部位によってはビリっとした、静電気のような刺激があります。低周波治療器やEMSなどを使用したことがある人は、最初からそれほど不快感はないと思います。
静電気が苦手な人でも、感じないほどの弱い電流から徐々に強くしていくので、電気を感じ始めたところで「これでお願いします」というと、その強さで施術してもらえます。(ちなみに私は「もっともっと」と言っていたら「これより上はありません」と言われました(汗))
強いほうが効果もあるようですが、あまり強過ぎる電流で行うと、あとから揉み返しのような症状がでることもあるそうで、注意が必要です。
首と肩の範囲であれば約20分程度で、費用は3000~11000円と幅があります。
病院で受ける筋膜リリースとは?
最後に紹介するのは、病院で受ける筋膜リリース、ハイドロリリースです。ハイドロとは「水」という意味で、具体的には癒着している筋膜の部分に液体を注射して剥がす治療になります。これは医療行為になるので、病院でしか行うことはできません。多くは整形外科で行われています。私が行ったのは、筋肉エコーも行っている整形外科です。保険適応になるかどうかわかりませんでしたが、バンザイをしたりして肩の動きをみてもらい、今回は保険適応で受けることができました。
ハイドロリリースという言葉は最近よく聞くようになりましたが、これはエコー(超音波)の機械の精度がよくなり、筋肉をエコーで細かく見ることができるようになったためです。
そのため、筋肉エコーを行っている整形外科を選んで行ったのですが、そこの先生がおっしゃるには、特殊な位置であればエコーが必要になるが、通常肩こりや腰痛を起こしやすいポイントは決まっているので、これまでもトリガーポイントとしてその部分に炎症を抑える薬や痛み止めを打って治療を行っていたそうです。
その場合、通常はエコーを使わずに注射しているそうですが、今回は初めてということもあり、特別にエコーを使いながら冒頭に説明した僧帽筋と肩甲挙筋の間に注射を打ってもらいました(ちなみに保険適応の場合は少量でも薬を使う必要があり、今回はステロイドと局所麻酔薬の薬を使いました)。
採血するよりも細い針を使っていたので、採血するよりも痛みはなく、また薬が入ってくる感じは全く分かりませんでした。ただ、エコーで筋肉と筋肉の間に薬が入り、2つの筋肉が剝がれていくのをリアルタイムで見るのはなかなか楽しかったです。
打った直後はあまり効果を感じませんでしたが、次の日には筋肉が硬くてまっすぐ上まで上がらなかった腕が違和感なく上まで上がり感動しました。それから私の場合は2週間ほどは効果が継続しましたが、その後は徐々に効果は薄れてきています。本来は注射とリハビリをセットで行わないと効果はなかなか持続しないようです。症状や部位によっては1回で治療が終わる人もいるようですが、長年付き合ってきた私の肩こりはやっぱり1回では完全に改善というわけにはいきませんね。また、頃合いを見て伺う予定です。
費用は初診で、左右2か所のハイドロリリース注射と注射前のレントゲン検査込みで3割負担2000円ちょっとでした。ネットで調べると自費だと1か所5000~10000円くらいのようです。
今まで私が試した肩こりのアレコレ、いかがでしたでしょうか?肩こりは本当に毎日の生活に影響を与えます。もし、私の情報が肩こりで悩んでいる皆さんの助けになれば幸いです。