目の不調は回復できる!? 「眼トレ」で疲れ目対策
構成・文/峯島由衣
スマホを使う便利な生活と引き換えに、目にはどっと疲れが。老化も相まって、さらに目は見えにくく…。
それらを自力で克服する方法があったんです!
医学博士
日比野佐和子先生
ひびの・さわこ●医療法人社団康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾統括院長。日本抗加齢医学会専門医。眼科、皮膚科、消化器内科の臨床、研究を経て、エイジングケア療法の第一人者として活躍。著書に『目がよくなると、10歳若返る』(ゴマブックス刊)など多数。
酸素と血流を巡らせれば視力や症状は回復する!
スマホを持つ人が増えたことが関係しているのか、近年、目の疲れを訴える人が急増しているそう。
「疲れ目を放置すると、目元の筋肉が硬くなり血流が悪化。そうなると目に十分な酸素が行き渡らなくなり、視力の悪化や老眼の促進、ドライアイ、眼瞼下垂(がんけんかすい)などを招く原因になります」
それらの目の症状が出たら、通院や手術をしないと治らないのでしょうか。
「目の周りの筋肉をほぐして血流を促す〝眼トレ〟を行えば、視力回復や老眼の進行を抑えることができます。視力の低下は、目のレンズの衰えではなく、筋肉の衰えがレンズの動きを鈍らせているもの。しっかり鍛えることで、かつての〝見えやすさ〟が戻ってきますよ」
『めりぃさん』では、基本的な眼トレを伝授。早速今日から始めてみましょう!
Check!
疲れ目の原因をチェック!
- めがねやコンタクトレンズをつけても近くが見えにくい
- 夕方や暗がりだと視力が弱くなった気がする
- 以前より頭痛や肩こりがひどくなった
》老眼かも
- パソコンやスマホなどの液晶画面を長時間見る
- 目に痛みを感じたりゴロゴロしたり、不快感がある
- 光をまぶしく感じ、目を開け続けられない
》ドライアイかも
- まぶたが重く、目が開けにくい
- まぶたがたるんできたり、くぼんできた
- おでこのシワが目立つようになってきた
》眼瞼下垂かも
ツボ押しで眼精疲労を緩和
- 清明(せいめい):眼精疲労や充血、ドライアイに。
- 太陽:疲れ目やかすみ目の他、緊張性頭痛に。
- 顴髎(けんりょう):眼精疲労や目、額のシワに。
- 瞳子髎(どうしりょう):眼精疲労や目の周りのシワ、頭痛に。
- 陽白:目の上の痛みに。
- 四白:眼精疲労や目のけいれんに。
老眼には目のレンズ機能を柔軟にしピント調節力を高めよう!
老眼とは、目のレンズ機能を担う水晶体が硬化し、毛様体筋の筋力が弱くなることでピントが合いづらくなっている状態をいいます。
毎日眼トレをすることでピント調節力が鍛えられ、老眼の進行を遅らせるだけでなく、視力の回復につながる人も!
老化現象と諦めてしまわず、今からでも遠近運動の眼トレにチャレンジしてみて。
正常な目
毛様体筋が柔軟に動くことで、近くを見るときは水晶体が厚く、遠くを見るときは薄くなりピント調整される。スクリーンとなる網膜に焦点が合うことでものが見える。
老眼の目
年齢を重ねると水晶体は硬くなり、毛様体筋が緩んでも水晶体は変化しにくく、薄いままに。よって近くのものを見てもピントが合わず、焦点も遠くなる。
- 人差し指の爪を、ちょうど目線の高さに来る位置(顔の中心)に据える。
- 指を少し遠ざけて人差し指の爪に焦点を合わせ、寄り目で1秒見つめる。
- 指をさらに遠くへ。“寄り目で1秒”を距離を変えながら3回程度繰り返す。
ドライアイには血流を向上させて質の高い涙を分泌させよう!
年齢を重ねると涙の量が急激に減少。
ただでさえ乾きがちであるのに、昨今のスマホ文化で長時間画面に集中することでまばたきの回数が減り、涙が蒸発しやすくなっています。
目を温めると毛細血管の血流が促されるだけでなく、目に必要な油脂が潤滑になり、涙の質の低下を解消できます。
正常な目は涙に均一に覆われているが、ドライアイは涙の層に凹凸ができる。
それにより、光をまぶしく感じたり目がかすんだりと、見えにくさを引き起こす。
濡らしたタオルを電子レンジで1分加熱してホットタオルに。タオルでまぶたを軽く押さえるだけで、目に酸素と栄養が行き渡る。
【 冷やすのはこんなとき! 】
血管や筋肉を収縮させることで、自己調整機能の回復や一時的に症状をやわらげることができます。
-
充血
-
日焼け
-
腫れ、かゆみ(一時的な緩和)
-
傷の痛み
-
アレルギー症状など
眼瞼下垂にはまぶたへの摩擦を避け目周りの筋肉を鍛えよう!
まぶたが下がることで視野を狭めてしまうことが主な症状。
また、目を意識的に開けようとして額の筋肉に力が入り、額にシワが刻まれている人が多いのも特徴です。
先天的な場合もありますが、多くの人は加齢によりまぶたの筋肉(眼瞼挙筋)の働きが弱まって起こります。
まぶたをこすらないことも意識するといいでしょう。
正常な目は黒目の輪郭が見えているが、眼瞼下垂の目は瞳孔にまぶたが被さっている。
ものが見えにくくなり、生活に支障をきたす場合は速やかに受診を。
両手で額を押さえる。その状態のまま目を大きく開ける。このとき眉毛も動きがちだが、まぶたの力だけで目を開けることを意識して!(1セット3回)
目のために昔から言われていることって本当はどうなの? ズバリ眼科医が断言します。
【 科学的にも根拠あり 】緑色は目にいい!
光には波長があり、目に見える光は虹の色で表される7色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)です。
波長は赤が最も長く、紫は短いもののエネルギーが強め。緑はちょうど中間にあり、目の組織への負担が最小限。
「遠くの緑を見よう」と俗に言いますが、毛様体筋が一番リラックスする色といえます。
【 薄暗い部屋で過ごしたからって 】目が悪くなるとは限らない!
目は暗い場所では瞳孔が拡大し、近くを見るときは瞳孔が縮小します。
暗所で作業するなど、目にとって相反する作用が起きなければいいので、家族との団らんやリラックスタイムなどは、間接照明などにしてもいいでしょう。
【 目に効果的なのは 】ビルベリー!
目の暗順応やピント改善に効果的といわれる成分「アントシアニン」。
実はブルーベリーよりも、原生種ビルベリーのほうが2〜3倍の含有量があります。
目のためのアントシアニンの摂取量は一日30gなので、サプリメントで摂取してもOKです。
他にも目にいいとされる食べもの
- ブルーベリー
- くるみ
- ほうれん草
- トマト
- イチゴ
- サーモン
- エビ
- イカ
- イワシ
- 牡蠣
- 蕎麦
- エゴマ油
- 赤ワイン など
【 一番の目薬は 】自分の涙!
市販の目薬や洗眼液には防腐剤など不必要な成分が配合されているものも。また、水道水には塩素が含まれていて角膜や粘膜層を破壊することがあります。
目には、もともと備わっている涙が一番。目の状態に応じて必要な質も量も自然に調節してくれます。
白内障
加齢により水晶体が白く濁り、視界全体にぼんやりとモヤがかかったように見えにくくなる症状です。
外からの光が眼底に届きにくいため、明暗の差をあまり感じにくいのも特徴。
初期の頃は点眼薬での処置が一般的ですが、進行後は水晶体再建術という手術が必要になります。
緑内障
視神経にトラブルが生じ、目で見た情報を脳にうまく伝えることができず、視野や視界に障害が出てきます。日本では、失明の原因として一番多いとされる病気です。
慢性緑内障と急性緑内障があり、慢性緑内障の場合は、症状がかなり進行しないと自覚症状がない場合もあります。
加齢黄斑変性
網膜の中心部分にある黄斑部に異常が現れる病気で、目の生活習慣病ともいわれています。
視野の中心部が暗くなったり、欠けたり、ゆがんで見えるのが特徴。
見たい部分が正確に見えなくなるので、読み書きが難しくなります。放置すると視力の低下が進み、失明に至る場合も。