スペシャルインタビュー 浅野ゆう子さん
撮影/木村和敬 ヘアメイク/持丸あかね スタイリング/角田今日子 取材・文/中村さやか 構成/黒澤あすか
スラっとした美しいスタイルに、大人のカッコよさが漂う浅野ゆう子さん。
57歳の時に結婚し、仕事だけでなく人生でも新たなステージを歩んでいます。
母親のサポート、健康寿命を意識した生活、価値観の変化などについてお聞きしました。
母親のサポートを模索中
夫婦のテーマは「健康寿命」
私はいま62歳で、母は90歳。ずっと神戸で飲食店を営んできた母ですが、コロナの影響もあり、50周年を節目ととらえて最近店を閉じました。毎日お客さまと接する仕事だったので、店を閉めたことで人と話す機会がなくなり、私が想像するよりも母には大きなストレスになっていたようです。高齢なので動かなくなると、やっぱり歩けなくなっていくスピードも早いんです。今はケアの方に来ていただいて、家で歩行のトレーニングをしています。家にこもらせるのもよくないと思いつつ、万が一を考えると外に出てほしくないという、複雑な心境でした。
母は気持ち的にはまだまだ元気。内臓も丈夫なものですから、食事は美味しく、たくさんいただいています。昔の人なので、お餅やお赤飯が大好き。のどに詰まらせないか、怖いんですけど(笑)。病院での定期検診で先生から糖分は控えめにと言われた時、私が「母は甘いものが大好きです。食べたいものを食べさせてやりたいんです」と主張したことが。先生も「元気だからまあいいか」と黙認してくださり、今、母は自由に食べ、あらゆる数値も絶好調です。
今後のサポートのことはずっと考えていますね。芸能活動が波に乗り始めた頃から何度となく東京で一緒に住まないかと母を誘ったのですが、慣れ親しんだ神戸の街を離れたくないと言うものですから私が往き来するしかない。今は私の仕事のペース配分、そしてショートステイやホームへの入居など、いろいろな選択肢を模索しています。
高齢社会になり、大切なのは健康寿命だと思うんです。私は6年前、57歳で結婚しました。もう、かなりいい大人同士でしたので(笑)、これからの健康寿命を考えて生きるのが2人のテーマでもありました。そのためには、食事がとても大切だと思って。「朝のフルーツは金」と聞くので、ほぼ毎朝スムージーをつくって夫婦で飲んでいます。もう5年以上続けていて、自分でもびっくりです。中身はリンゴ、キウイ、レモン、ベリー系、小松菜、ほうれん草、アボカド、ニンジン、パプリカ、トマトなど約30品目。甘酒やハチミツ、豆乳も加えて。最近は私だけ内緒で酵素を入れることも(笑)。食材はなるべく有機のものを選びます。忙しい朝でもつくれるように、材料はできるものはカットして冷凍。スムージーのおかげか、夫も非常に体の調子が良いようです。あとは、腸内環境を考えて食物繊維の多いものを意識的に食べています。
運動ですか? ふふふ、ものぐさなんでしないんですよ。若い頃、いいスポーツジムを見つけて通い詰めたら、逆に腰を悪くしてしまったことがあって。本当は運動があまり好きじゃないくせに、やり過ぎてしまう凝り性(笑)。なので、今は買い物がてら遠回りするなど、なるべく歩くようにしています。歩くことは健康に良いので封印していたゴルフも10数年ぶりに再開しようかと。先日夫とラウンドしてきました。
お肌のケアに関しては、仕事柄メイクさんからいろいろな情報をいただきます。自分で試した結果、化粧水で十分に水分を与えるのが私には一番という結果にたどり着きました。化粧水を手でつけたときの感覚が、肌のバロメーター。乾き方が早いと肌が乾燥しているなど、すぐに気が付きます。
残りの人生をどう生きるか
同世代での〝大人婚〟
夫と出会ったのは、共通の知人の誕生日パーティーでした。ほぼ同い年で、きっちり同じ時代を生きてきたので「昔はこんなだったよね」「それわかる!」と、話が一方通行にならずに会話になる。それって長い時間を共にするうえで、とても大きなことだと思います。私は一人の時間が好きで結婚願望というものもなく、おそらくずっと一人でいるんだろうなと思っていました。そこに異分子が異文化とともに入ってきて、でも何だか同調できるものを私にポーンと投げてくれる。そういう人との時間なら居心地が悪くないなって。若い頃のドキドキする恋愛とは違いましたね。出会った当時、お互いにもう人生の折り返し地点は十分に過ぎていましたので、一番に考えたのは、残された時間をどう生きていくか。片方に何かあったときは、もう片方が手を引いて、寄り添いながら生活していけるといいねと話しました。そのためには、結婚という制度を検討しようという話になって。それが「大人婚」なんじゃないかと思うんです。お互い自立して生きてきた自信があるからこそ、自分にも相手にも責任が取れる。単に一緒にいたいというだけでなく、相手への敬意や、大切に思う気持ちを伝えられればと考えた結果が結婚でした。
でもやはり違う人間ですから、互いに譲れない部分ももちろんあります。そういう時は無理をしない。けんかするとくたびれますしね。夫はプラっと外出してクールダウンして戻ってきます。そんな対処の仕方ができるのも、大人だからでしょうか。
コロナ禍となり夫と話し合い、海を見ながら深呼吸のできる小さなセカンドハウスを手に入れました。スカウトされて中学生の時に一人で上京してから、人目を気にせずに大きく窓を開けて生活したことがなくて、憧れもあったんです。自然豊かな土地なのですが、猿が遊びにきたのには驚きました(笑)。60歳を過ぎてもまだまだ新しいことを体験できるのは、こそばゆいけど楽しいですね。
写真左:妖怪役はこれまで何度か演じてきましたが、昨年は『ゲゲゲの鬼太郎』の砂かけばばあ役に挑戦。原作に寄せようと思いつつ、私なりの砂かけばばあでどうだ!と開き直りました(笑)
写真右:母が90歳を迎え、紫色の卒寿の衣装でお祝い。年齢入りのお花もオーダーしました。母は顔のシワが少ないのですが、おかげさまで私もこのDNAを受け継いだようです。
仕事もプライベートも
新しいことに挑戦し続ける
新たなことに躊躇なくトライできる自分でありたいと、常日頃から思っています。昨年は舞台『ゲゲゲの鬼太郎』で砂かけばばあ役を演じさせていただきましたが、経験がないキャラクターのオファーをいただくと、飛び上がるほどうれしくなります。プライベートでは、在宅時間が増えたことで始めたケーキづくりが、簡単なシフォンケーキからブッシュ・ド・ノエルまでステップアップ。私って、こういうこともできるんだと自己満足。他の人にはなんでもないことでも、私にとって新しいと思えたら、小さなことでも挑戦していきたいですね。
心が不安定な時期を
支えてくれた先輩女優
わりと楽観的で、落ち込んでも引きずらない性格です。でも振り返ると、いわゆる更年期と呼ばれる時期に、精神的な落ち込みや仕事への不安、人生への迷いが多少ありました。そんな時は心から信頼のできる大好きな女優の野際陽子さんに相談していました。野際さんは大先輩の尊敬する女優でありながらも、私の母であり、姉であり、最愛の方でした。「あなたは唯一無二の人である」と励まし続けてくださった野際さんの言葉が、今も私の心に暖かく存在しています。そして私も野際さんのように、普段からなるべく穏やかでいようと心掛けています。これまで現場で怒る人を何度も見てきて、何も良いことはないと感じているので、イライラしても自分の中で〝我慢〟をして消化できます。これは昭和生まれというおかげ?(笑)。
還暦は一大イベントだと構えていたんですが、コロナ禍でするっと迎えちゃいました。人生ってそんなもんだろうと思いつつ、何事もなく過ぎたことに幸せも感じました。でも体力の回復が遅くなったり、ケガの治りが悪くなったりと感じる部分はあります。仕方ないことですが。努力で改善できるものはしていかなきゃと考えています。睡眠の質を高めるため、入浴後に体温が下がって眠くなったら、タイミングを逃さずにベッドに入ったり、代謝を上げるために朝も湯船に浸かったりしています。
「物欲」から変化した
いまの自分が感じる幸せ
若い頃は物欲旺盛で、ブランド品も欲しいと思ったものはなにがなんでも買っていました。仕事を頑張ったからこそ買えたことがうれしくて。買ったものは毎日身に着けて、すごく幸せな時間を過ごせましたが、50歳目前でしょうか、「一つあるからもう要らない」と思うようになりました。どこかで満足したんですね。
カッコつけて聞こえるかも知れませんけど、いまの自分の幸せは「人」。私、友だちが多くないので。だからこそ本当に好きな人を大切に、長くおつき合いしたいんです。女優の室井滋さんも大切な友人の一人。彼女とはドラマでの共演をきっかけに30年来のつき合いで、よく一緒にお食事に出かけます。彼女の飾らない、生身の人間としてのリアルな芝居に、ものすごい衝撃と影響を受けました。その才能に嫉妬するくらい。ただ、2枚目のヒロインをやらせたら私のほうが上でしょうけどね(笑)。この前も「舞台見たけどずいぶん気取った芝居をしてたじゃない」なんて冗談をいったら、「へっへっへ」と笑ってました(笑)。滋ちゃんは私の舞台も必ず観に来てくれます。そんな大切な仲間との時間こそ、今の私には宝物ですね。
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浅野ゆう子さん
あさの・ゆうこ●1960年生まれ。女優。74年に歌手としてデビュー後、テレビや映画で女優として活躍。80年代以降はトレンディドラマの代名詞的存在に。映画『藏』(95年)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。舞台などでも幅広い役を演じ続けて話題に。
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