薬剤師が教える！痛み止めとの正しい付き合い方

頭痛や腹痛、生理痛などさまざまな痛みをカバーしてくれる痛み止め。今回は普段使う際に気になる疑問や不安について薬剤師の方にお答えいただきました！

教えてくれたのはこの方！

白ゆり薬局

（株式会社ファーマフロント）

代表取締役・薬剤師

神田一仁さん

痛み止めはどれも同じ？
市販薬と処方薬の違い

ドラッグストアなどで購入できる市販薬の痛み止めには、痛みを抑える鎮痛成分の他に、胃薬やカフェイン、鎮静作用のある成分が含まれていることがあります。カフェインは眠気を取ったり、痛みを緩和させたりする目的で頭痛薬などに入っていることが多いです。

一方、医師が診察したうえで処方される処方薬は、必要な成分だけが入ったシンプルな薬が多く、痛み止めであれば痛みを抑えるための鎮痛成分だけが入った薬が処方されることが多いです。

成分の違いで言うともう一つ。市販薬は処方薬と違い、決まった量しか有効成分を入れることができません。反対に処方薬の場合は、医師が診察して量を調整するので、市販薬に比べて有効成分が多く、また同じ薬でも患者さんによって有効成分量が変わることがあります。

痛み止めを飲む場合、もし事前に痛くなることが予想できるなら、効果が出るタイミングを逆算して早めに飲むことをおすすめします。薬は体に入ってから血液の中で有効成分の濃度が高くなったときに最も効果が出ます。薬によって最高濃度に達するまでの時間は変わりますが、だいたい薬を飲んでから1時間〜2時間ほどかかります。そのため、痛みが出てから薬を飲むと効果を感じるまでに時間がかかってしまうんです。早めに飲んでいただくとちょうど痛みが出るときに痛み止めが効いてくるのでラクになりますよ。

気軽に使える市販薬
選び方・飲み方には注意を

痛みが強いからといって薬を規定の量よりも多めに飲んだり、飲む間隔を早めたりするのは危険なのでやめましょう。また、薬を飲む際には基本は水で飲むことをおすすめします。薬の種類によってはお茶やコーヒーで飲むことによって効果が下がってしまう可能性があるためです。もし飲み方に迷った場合は、自己判断せず、ぜひ薬剤師にご相談ください。また、薬局ではお薬が飲みにくいなどのご相談にも対応しています。例えば、粉砕可能な薬であれば錠剤を細かくすることもできますし、ゼリーで飲む方法や簡易懸濁法（かんいけんだくほう）といったお湯に溶かす飲み方などをご提案することも可能です。

今はドラッグストアで誰でも手軽に薬を購入することができますが、市販薬であっても飲み方や他の薬との飲み合わせによっては、副作用が強く出たり、体調を崩したりすることがあります。特にご高齢の方やお子さん、体調の悪い方や持病のある方などは注意が必要です。薬局では処方薬だけでなく市販薬についてもアドバイスができるので、薬に関することであればぜひ気軽にご相談いただけるとうれしいです！

薬剤師の仕事は「ただ薬を選んで渡すだけ」じゃない！？

処方箋をお預かりした後、薬をお渡しするまでに実は薬剤師にはいろいろな仕事があります。例えば処方に合わせて薬を調合したり、錠剤を半分に割ったり、複数の薬を1回ぶんずつ袋にまとめたり…。患者さまには見えない部分ですが、間違いのないよう細心の注意を払って日々作業しています。

お薬のお悩みや疑問はご自身で判断せずに、ぜひ薬剤師にご相談を。下記では痛み止め薬の気になる疑問について薬剤師がお答えします！

教えて！薬剤師さん
痛み止めのここが知りたい！

気になる痛み止めの飲み方や選び方に関する疑問とお悩みについて、薬剤師の山田さんに詳しく教えていただきました！

教えてくれたのはこの方！

山田くみ子さん

白ゆり薬局末広店管理薬剤師

Q. 痛み止めを飲むと胃が痛くなってしまいます…

A. 胃薬が入ったお薬を選びましょう。痛み止めの成分には胃の粘膜の分泌を抑える効果もあるため、胃が弱い方だと服用後に痛みが出る場合も。対策としては「食後に薬を飲むこと」。そして、どうしても空腹時に薬を飲みたい場合は「できるだけ水をたっぷり飲むこと」です。

Q. 痛みが強いときは多めに薬を飲んでもいいですか？

A. 基本的に決まった量から自己判断で服用量を増やすのはNG！薬を倍飲んだから、効果が倍になるわけではありません。逆に副作用が起きやすくなったり、肝臓などに負担がかかったりする可能性もあります。もし薬を飲み忘れてしまった場合も、2回分をまとめて飲まず1回分の量を守って飲むようにしましょう。

Q. いつもの痛み止めが効かない！もっと強い薬を使ったほうがいいでしょうか？

A. 痛み止めはアセトアミノフェンとNSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）という2種類のタイプに分けられます。アセトアミノフェンはお子さんやシニアの方も使えるやさしい作用の薬で、現在アセトアミノフェンを使っている場合、より強い作用のNSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）の薬に変える方法があります。それでも薬が効かなければ一度病院の受診をおすすめします。

Q. 市販薬が多過ぎてわからない！結局どれを使えばいいの？

A. 自分が欲しい成分が入っている薬を選びましょう。例えば胃が弱い方は胃薬が入っているもの、鎮痛作用だけ欲しければシンプルな成分のものなど。ただ、ご自身で成分を確認するのは面倒ですよね。そんなときこそぜひ薬剤師を頼ってください！メーカーの枠を超え、似たような成分のお薬を紹介できることもあります。

Q. 痛み止めを飲んだ後は眠気が出て仕事になりません…

A. 鎮静作用のある「アリルイソプロピルアセチル尿素」などの成分には、薬の服用後に眠気が出てしまうことがあります。仕事中や長時間運転する際には、こうした成分が入った薬を飲むのは避けましょう。薬を選ぶとき、薬剤師に「眠くならない痛み止めありますか」と聞いてくださいね！

Q. 以前処方してもらった薬が余っているんですが、飲んでも大丈夫でしょうか？

A. 薬の種類や薬局での保管期間にもよりますが、一般的に薬の期限は処方されてから2年ほど。保管場所によっては劣化が早まることもあります。また、薬はそのときの症状に合わせた処方なので、今の体に合わない場合もあります。さらに、薬に含まれる添加物も劣化している可能性があるので、処方から時間が空いた場合は捨てていただきたいです。

取材に協力してくださった

白ゆり薬局末広店の皆さん！