患者さまに知っていただきたいこと【緑稜会 みどりクリニック】
撮影/蘒野孝行 イラスト/南 佳奈江
構成・文/明滝 園
身体が不調を訴えて、病院へ行くときあなたはどのように医師や看護師と接していますか?
あまり知られていない正しい医療者との接し方について、小野江先生に伺いました。
医療法人社団 緑稜会 みどりクリニック新道東 院長
小野江 和之さん
「自分が幸せじゃないと他人を幸せにできない」「きっちりすることとどうでもいいことのメリハリ」
正しく診察するために
病院やクリニックで外来診療に従事していると、結構な頻度で、例えば「最近咳が出るけど、原因はなんですか? コロナですか?」といった感じで、ある症状についての簡単な説明からいきなり一つの答えを求めてくる人がいます。SNS上でもこっそり、場合によっては大っぴらに、質問をしてくる人がいます。
でも残念ながらほとんどの場合は情報が圧倒的に不足していて、その時点では答えがわかりません。そんなとき、私は正直に、「(現時点では)わかりません」と言います。
以下、咳について話を進めていきますが、咳の出る原因は世の中に山ほどあります。たとえ違う原因の咳であっても本人が自覚する症状が似ていることは、皆さんが思う以上にたくさんあります。
「こういう感じの咳だからこの病気」、なんていう「一対一対応」には残念ながらなっていないのです。ですので、例えば「どういう咳が出たら要注意なんですか?」と聞かれても、真っすぐ答えることは極めて困難です。
今までにないつらい症状の出方は心配だとか、喘息やCOPD、慢性心不全などの基礎疾患を持っていらっしゃる方の強い咳や長引く咳、こういうのには気を付けたほうがいいです、とコメントするのが精いっぱいです。
もちろん喀血を伴う咳はどうなんだとか言い出したら心配な咳は他にもいろいろありますが、漠然とした質問に対して細かい可能性をずらずら列挙してもわかりにくいだけだろうと思います。
外来診察であれば、そこからいろいろな話を聞き出していく(「問診」ですね)中で、例えば痰や鼻水鼻詰まり、発熱・倦怠感・食欲不振、下痢・嘔吐・体重減少、その他いろいろ、咳以外の症状経過についても必要そうなものを把握して(多くの病気は症状がこれだけってことはありませんから)、基礎疾患の有無や喫煙歴・家族歴なども確認しつつ診断の手掛かりを探していきます。
そこから必要に応じた検査で客観的情報を増やしたり、そのまま経過観察をしたり投薬治療に対する反応をみるなど、だんだんと絞り込んでいくのが私たちの仕事の流れです。
医者はエスパーではありません。相手の心をすべて見透かすことなどはできませんので、問診に正しく(場面によっては「正直に」というべきでしょうか)答えてくれないと正しい答えには近づけません。
投薬治療の際にも患者さんが薬の用量用法を守って服用している前提でみて判断していますので、実は薬をのんでいなかったとかうっかり忘れていたなんて場合にも、その旨きちんと伝えていただく必要があります。
患者と医療者の信頼関係
ちょっと話が逸れますけど、診療現場での「信頼」が話題にのぼる場合、患者側から医療者に対する信頼感ばかりが問題にされますが、医療っていうのは『相互の』信頼関係が必要なのですね。
もしその信頼関係がないと契約関係(準委任契約、興味ある方ググってください)が成り立たない、信頼関係がすっかり破綻している場合には診療を終えるという選択肢すらありえます。
医療者が患者さんの信頼にこたえるべくつとめるのと同様、患者さんもまた医療者の信頼にこたえなくてはいけないのです。ここらへん、どうも忘れられがちなことのように思います(医療者側も含め)。
こうやって話を進めていくと多くの問題は解決に向かいます。もちろん解決しないこともありますし、よくわからないままよくなったり悪くなったりする場合もあります。
世の中には治る病気も治らない病気もありますが、全体をならして考えると、もし治らない病気の類であったとしても、受診は有用だったと思ってもらえる場合のほうがずっと多いと思います。
症状や病気をどうとらえ向き合っていくかを知ることに大きな意味があるのですから。
医療機関の受診方法
今の時期、風邪っぽい症状の人はCOVID-19 の可能性が高いですから、もしそういう場合は自宅でしっかり保温・安静・こまめな水分摂取につとめてください。
家の中でも家族との接触には十分な配慮が必要ですし、家族も極力外出を控えるなどの対策をしたほうがいいと思われます。
症状が重ければ医療機関の受診を考慮すべきですが、いきなり医療機関に向かうのではなく、まず電話問い合わせから始めてください。行った先でのうつす・うつされるの問題が生じますので。
「診てもらえないと思った」なんて理由で、受付から問診票の記載までずっと症状を伏せ、診察室でいきなり症状について語りだすケースがあったという話をきいたことがあります。
私自身も数年前の「新型コロナ以前」、インフルエンザ様の症状の患者さんにコレをやられたことがあります。その方は前日に配偶者がインフルエンザと検査で確定診断され、自分も似たような症状が出たのにもかかわらず、外来待合での隔離や待ち時間の長さを嫌ってそのような挙に出たようでした。
当然ながら厳重注意です。問診だけで(検査なしで)確定診断できるようなケースでした。思いは伝わっていなかったようですが…検査結果もインフルエンザ陽性でした。もしうつされた人がいたらお気の毒としか言いようがありません。
もう一度おさらいしよう! マスクの正しい使い方
ここ数年、マスクをつけることが日常的になりました。しかし、つけ方を間違うとその効果も半減してしまいます。
『めりぃさん』編集部で、マスクの正しいつけ方を調べました。
正しいマスクのつけ方3ステップ
- ゴム紐を耳にかけましょう。さまざまなサイズのマスクが販売されていますので、顔の大きさに対して適切な長さのものを選びましょう。
- 鼻と口の両方をしっかり覆いましょう。呼吸しにくいからと鼻を出していると、効果が軽減してしまいます。
- ノーズフィット(鼻の硬い部分)を折り曲げて、鼻の両脇の隙間をふさぎましょう。ここのすきまが開かないようにしっかりフィットさせましょう。
参考:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html
おさえておこう! マスクの基本
マスクは不織布をおすすめします
不織布マスクはさまざまな素材の中でも特に効果が高いといわれています。その理由をご紹介します。
特徴
不織布とは繊維を織らずに絡み合わせたものを指します。繊維を集めて科学的に結合させたりして、シート状にします。
おすすめの理由
不織布は目の細かさが特徴として挙げられ、ウイルスなどの侵入を防ぐフィルター機能が優れています。
さらに息がしやすいよう通気性のよさも兼ね備えているため、マスクとしては最適な素材です。
あまり知られていませんが、紙おむつやエアコンのフィルターなどにも不織布が使用されています。
『めりぃさん』編集部 Sの取材メモ
言いづらいことは言わず、つらい症状だけを訴える傾向が自分にも見られました。この取材を通して、診察を受けるときは、今体に起こっていることを正直にお医者さまに伝えることが、症状を悪化させないことにつながると感じました。
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医療法人社団 緑稜会
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