【ひざの痛みへの効果は?グルコサミンのサプリメントについて】
50代の女性にみられやすくなる症状に多いのがひざの痛み。ひざの痛みを和らげるために人気を集めているのが「グルコサミン」というサプリメントです。この記事では、グルコサミンの実際の効果について解説します。
■年齢を重ねるとひざの痛みが生じる理由
階段を昇るときや歩いているときに感じるひざの痛み。気温の低い朝や寒い日だけにひざの痛みが現れる人もいるでしょう。ひざの痛みはそのままにしておくと少しずつ症状が進みます。
ひざの痛みの原因として多くみられるのが加齢によるものです。ひざは太ももの骨とすねの骨をつなぐ関節です。スムーズな足の動きは、2つの骨のつなぎ目にある軟骨がクッションの役割によるものです。
年を重ねると、少しずつひざの軟骨がすり減っていきます。ひざの軟骨が少なくなると、太ももの骨とすねの骨が直接触れ合うようになるため、痛みが生じるのです。
特に、軟骨のすり減りによるひざの痛みは、ひざに負担のかかる生活を送っている人に症状が現れやすくなります。具体的には、重い荷物を運んだり、過体重の人が当てはまります。
ひざの痛みを抱えている人の中には、メンテンナンスのためにサプリメントを利用している人もいるでしょう。“ひざの痛みによい”とされるサプリメントは、「グルコサミン」と「コンドロイチン」です。
この2つの成分は、軟骨に含まれる成分です。グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントの中には、「軟骨を再生する」という謳い文句の商品もあり、ひざの痛みで悩んでいる人の中には、試してみたいと感じる人も多いかもしれません。
グルコサミンやコンドロイチンの効果は?
結論から言うと、グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを飲んでも、軟骨が再生するわけではありません。人間の歯と同じで、軟骨は再生能力が乏しいためです。
また、グルコサミンなど特定の成分を口から摂取しても、患部にダイレクトに効果を得るのは難しいものです。軟骨は血管が少ないので、血流によって届いたサプリメントの成分が効果を発揮することはほとんどないと考えられます。
以上の事実を考えると、ひざの痛みに対してグルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを飲んでも、症状は軽くならないと想定できます。一方で、これらのサプリメントを飲んで、「ひざの痛みが軽くなった」と実感する人も中にはいます。
サプリメントでひざの痛みが緩和した理由は、プラシーボ効果による可能性があります。プラシーボ効果は、本当は効果がない薬なのに「効果がある」と思い込んで服用することで、実際に効果が現れることをいいます。プラシーボ効果を得られると、薬が偽物と分かった後でも、効果は続きます。
グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントの中には、高価のものもあるので、何かしらの効果を強く信じることで、症状が和らぐことがあるでしょう。しかしながら、サプリメントはあくまで健康食品です。ひざの痛みをなくしたり、軟骨を増やしたり等、体に直接的な作用をもたらすのものではないことを覚えておきましょう。
加齢による軟骨のすり減りでひざの痛みが起きている場合、症状の緩和に役立つとして注目されているのがコラーゲンです。体内のコラーゲンの20%は軟骨や骨にも存在しています。
以前までは、コラーゲンを口から摂取しても胃で消化されて分解されると考えられていました。しかし最新の研究により、食品で摂取したコラーゲンの一部は酵素によって細かく分解されて、軟骨や骨、皮膚などの細胞に作用することが明らかになったのです(専門用語でコラーゲンペプチドといいます)。
食品からコラーゲンを摂取して、ひざの痛みを即座に消すわけではありませんが、よい影響をもたらす可能性があるとする専門家もいます。コラーゲンは手羽先、豚足、牛スジ、鮭の皮、ウナギなどの食品に豊富に含まれています。
ひざの痛みに対する対策には、体重管理や足の筋力の増強などがありますが、食卓にコラーゲンの料理を取り入れてみるのもいいですね。
加齢になどによりひざ関節の軟骨がすり減ると、ひざの痛みを生じることがあります。ひざの痛みによいとされるグルコサミンやコンドロイチンのサプリメントは、効果が認められているわけではありません。ひざ関節によい食品を取りながら、症状をコントロールしていきましょう。