第6回 変わるNISA制度|シニアのためのお金のはなし
「老後のお金が不安・・・」という方、必見!気になるお金の疑問を家計再生コンサルタントの横山光昭さんが解説します。
改定前に知っておきたい!NISAの基礎知識
新しいNISA制度が始まる前に、NISAの基礎知識をおさらいしましょう!
NISAとは資産形成を後押しする国の税制優遇制度!
過去の連載回でも紹介してきたNISA(少額投資非課税制度)。今回は新制度開始に合わせて改めて特徴的なメリットを紹介します。
NISAのメリット
利益や配当金が非課税になる
現行の制度では、つみたてNISAなら最大20年間、一般NISAなら最大5年間、NISAの口座内で投資をして得た収益を非課税で受け取ることが可能。税金が引かれず、利益をそのまま資産にすることができます。
確定申告が不要
投資で得た利益は原則として確定申告が必要となりますが、NISAは長期・積立・分散投資を後押しする制度なので口座内で投資をして得た利益は「非課税所得」。そのため、確定申告も納税も不要です。
いつでも現金化できる
NISAは運用する資金をいつでも売却して現金化することができます。経済状況が悪化したり、子どもが進学する、親の介護が始まる…などライフスタイルの変化に合わせて投資に回す資金を調整できます。
投資初心者にこそおすすめ!運用商品は相続も可能です
新しいNISA制度は、自由度が高く、さらにシンプルでわかりやすくなりました。NISAの制度改正のポイントは下記の一覧表をご覧ください。投資の上限額が広がり、非課税期間が無制限になったことで、より多くのお金を投資できて、より長期的な運用が可能となりました。家計がある程度安定している方であれば、「投資は怖い!」と恐れずに、ぜひ始めてみて欲しいです。
投資と言うと技術や知識が必要だと思う方もいるかもしれませんが、つみたてNISAは技術なしで資産形成ができる、とても優秀な制度です。毎月1万円でも、3万円でも残して投資するだけでOK。投資する商品も、金融庁が定めた一定の条件を満たしている商品なので、初心者でもリスクが少ない。ある意味、投資が好きな人にとっては物足りないと感じるほどシンプルな構造です。
シニア世代の方の場合、少なくとも10年は運用したいので、平均寿命から逆算してだいたい75歳までに運用を始めることをおすすめします。ですが、それ以降に投資を始めても大丈夫。つみたてNISAの口座で運用する商品は相続の対象となるため、投資する本人ではなく家族や相続人の利益を考えて、つみたてNISAを利用するという選択肢もあります。
2024年にいよいよスタート!
新NISAはココが変わる!
来年から改定されるNISAの制度を一覧でご紹介。
これまでNISAを利用していた方、これから利用を考える方も
改定のポイントを押さえておきましょう。
口座開設は今年からが◎
コツコツ地道に運用を!
新NISAがスタートするのは来年1月ですが、可能なら今年中に口座を開設しておきましょう。理由としては、早めに投資に慣れておくため。もう一つは、投資枠が増えるためです。今年開設したNISAの口座は、来年開設する新NISAの口座とは別枠になるため、単純に投資できる枠が増えることになります。できるだけ多くのお金を運用に回したい人は、ぜひ投資枠の増える今年中に口座開設をしましょう。ちなみに、大きな額を運用した場合、生涯投資枠の上限に達してしまうこともあります。新NISAでは商品を売却した場合に非課税枠が復活するので、人によっては総額で見ると生涯投資枠1800万円を超える金額を運用できることもあります。
自由度が上がりメリットも増えた新NISAですが、運用の方針は現行NISAと変わらず、とにかくコツコツ積み立て投資することが重要です。これは制度的にもよく考えられていて、上の表にもあるように年間投資枠の上限が決まっているので、生涯投資枠の1800万円を一括で投資できないようになっています。家計の状況にもよりますが、定年世代は雇用形態の変化や病気などの予期せぬ出費もある年代。制度が変わっても、大切なお金は残した上で投資することを忘れないようにしましょう。
教えてくれたのはこの方
ファイナンシャル・プランナー
家計再生コンサルタント
横山光昭さん
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムは高い評価を受けている。