シニアのためのお金のはなし 第5回 「年金制度」について学ぶ
老後のお金が不安…」という方、必見!気になるお金の疑問を家計再生コンサルタントの横山光昭さんが解説します。
教えてくれたのはこの方
横山光昭さん
ファイナンシャル・プランナー
家計再生コンサルタント
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムは高い評価を受けている。
年金制度の基本をチェック!
働き方や勤め先で金額が変化
今回は「公的年金」と「私的年金」について解説していきます。
日本の年金制度は建物に例えて「2階建て」「3階建て」と言われることがあります。すべての国民が加入する義務のある「国民年金」が1階、その上に2階部分となる「老齢厚生年金」が積み重なります。この1階と2階部分が「公的年金」と呼ばれ、その上の3階部分にあたるのが「私的年金」と呼ばれる、「企業年金」や「国民年金基金」、「iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)」などの勤め先、または個人で加入する年金になります。
少し複雑に感じるかもしれませんが、上の図のように整理するとわかりやすいですね。例えば、第2号被保険者に区分される人たちは、国民年金にしか加入していない人に比べ、2階の厚生年金がある分、受け取れる年金の額が多くなります。逆に第1号、第3号被保険者の方は2階にあたる厚生年金に加入できない場合があるため、第2号被保険者の人に比べて、受け取れる額が少なくなる可能性があるのです。被保険者の区分によって将来受け取る年金の金額に不安がある方もいるかもしれません。公的年金だけでは足りないと感じた場合は、3階部分にあたる私的年金によって老後資金を形成する方法を検討してみましょう。
余力があれば私的年金の検討を!
女性は年金の区別の変化に注意
公的年金がいくらもらえるのかが把握できると、企業年金やiDeCoなどの私的年金をどのように活用していくのかも考えやすくなります。ちなみに企業年金にはいくつか種類があり、その制度のある会社で働いている時に加入することができます。受け取り方は年金で受け取る方法、一時金で受け取る方法、年金と一時金の併用で受け取る方法の3つから選べるものがほとんどです。
また、iDeCoは、保険料の控除や所得税や住民税の控除など、税制上の優遇措置があることがメリットですが、人によってはデメリットもあります。被保険者の区分や資産の状況などみて、余力がある場合に加入を検討するようにしましょう。
ちなみに、年金の被保険者の区分が勤め先や働き方で変わることがあるとお話しましたが、女性の方は結婚や出産など、男性よりもライフステージの変化が起きやすい傾向にあります。そのため、今後どのように被保険者の区分が変わるのかを上の表を見て、あらかじめ想定しておきましょう。
また、定年を迎えた方でも、過去のライフステージの変化に合わせて年金の加入状況をチェックすることが重要です。被保険者の区分が正しく変更されているか、記載もれがないかなどを確認してみてください。