異常が出るのは何歳から?健康診断結果の見方もチェック
健康診断で異常が見つかるのは、加齢による代謝が下がる中高年層が最多となっています。血液や血圧などの診断結果を確認し、異常が出る前に早めの対処を行いましょう。
毎年行われる健康診断では、体格から内臓機能、血液の状態など項目ごとに異常がないかチェックすることができます。
ここでは、健康診断で異常が見つかるケースが多い年齢とその理由、また健康診断の結果の見方について紹介します。
健康診断で異常が見つかることが多い年齢について詳しくみていきましょう。
健康診断の結果が正常値を超過し、要経過観察や再検査になるケースは40代以降の中高年層に多くみられます。
東京都予防医学協会で行われた2010年度定期健康診断の結果によれば、男女ともに高血圧・腎機能低下・胸部レントゲン異常・心電図異常のみられる割合が年齢とともに増加しているようです。
さらに、肥満などの生活習慣病も40代から60代のうちに発生する件数が増えていることがわかりました。
若者は中高年層と反対に貧血ややせ(体型)などの問題がみられることから、健康診断で生活習慣に関する異常をきたしやすいのは中高年層に多いと判断できます。
ここからは、健康診断で測定できる項目と、その項目に関する判定や基準値の見方を確認していきましょう。健康診断を受けた後でも受ける前でも参考にできるので、確認してみてください。
BMI(体格指数)は身長に見合う体重かどうかを判断する数値です。BMIと同時に、メタボリックシンドロームを判定するための腹囲の数値も計測されます。
要注意 |
基準範囲 |
要注意 |
|
体格指数(BMI) |
18.4以下(低体重) |
18.5~24.9 |
25.0以上(肥満) |
基準範囲 |
異常 |
|
男性 |
84.9cm以下 |
85.0cm以上 |
女性 |
89.9cm以下 |
90.0cm以上 |
血圧は、心臓のポンプ機能の状態や高血圧・低血圧の状態を判定するものです。
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
||
血圧 |
収縮期血圧 |
129mmHG以下 |
130~159mmHG |
160mmHG以上 |
拡張期血圧 |
84mmHG以下 |
85~99mmHG |
100mmHG以上 |
血液検査では、血液中の総タンパクの量を以下の基準に沿って判定します。
異常 |
要注意 |
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
5.9g/dL以下 |
6.0~6.4g/dL |
6.5~8.0g/dL |
8.1~9.0g/dL |
9.1g/dL以上 |
肝臓障害を判定するためのアルブミンの値は、以下の基準に照らして判断されます。数値が低いときは肝臓障害やネフローゼ症候群などが疑われます。
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
4.0g/dL以上 |
3.6~3.9g/dL |
3.5g/dL以下 |
次に、心臓に多く存在する酵素「AST」と、肝臓に多く存在する酵素「ALT」の数値を見ます。数値が高い場合、肝臓がんや肝炎などを疑い、ASTのみ高い場合は心筋梗塞などの可能性を疑います。
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
|
AST(GOT) |
30U/L以下 |
31~50U/L |
51U/L以上 |
ALT(GPT) |
30U/L以下 |
31~50U/L |
51U/L以上 |
γ-GTPは、肝臓や胆道に異常がみられたときに数値が上昇する値です。アルコール性肝障害や慢性肝炎の発見に役立ちます。
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
50U/L以下 |
51~100U/L |
101U/L以上 |
腎臓系検査として、アミノ酸の一種「クレアチニン」が代謝されたあとの老廃物を計ります。腎臓でろ過されて尿中に排泄されますが、この数値が高いと腎臓の機能低下が起こっていると判断できます。
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
|
男性 |
1.00mg/dL以下 |
1.01-1.29mg/dL |
1.30mg/dL以上 |
女性 |
0.70mg/dL以下 |
0.71-0.99mg/dL |
1.00mg/dL以上 |
尿酸の値で、タンパク質の一種であるプリン体が代謝されているかがチェックできます。高い数値の場合は高尿酸血症となり、痛風の可能性や発生を疑うことができます。
要注意 |
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
2.0以下mg/dL |
2.1-7.0mg/dL |
7.1-8.9mg/dL |
9.0mg/dL以上 |
糖代謝の検査として、血糖値を測定します。ブドウ糖がエネルギーに正しく利用されているかがわかり、数値が高い場合は糖尿病や膵臓癌のほか、ホルモン異常の可能性が疑われます。
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
99mg/dL以下 |
100-125mg/dL |
126mg/dL以上 |
近年では血糖値の他にHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)をチェックする方法も一般化しています。過去 1~2ヶ月の血糖の平均値がわかるので、空腹時血糖が126mg/dLでHbA1cが6.1%以上(NGSPの場合は6.5%以上)で糖尿病と判断することができます。
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
5.1%以下 |
5.2~6.0% |
6.1%以上 |
次に、生活習慣病の早期発見に役立つコレステロールの値を確認します。総コレステロールが高すぎると動脈硬化が進んで、心臓疾患のリスクが高まります。また、脂質代謝異常や甲状腺機能低下症などを疑うこともできます。低すぎる場合は肝硬変や栄養吸収障害が疑われます。
要注意 |
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
139 以下mg/dL |
140~199mg/dL |
200~259mg/dL |
260mg/dL以上 |
HDLコレステロールは「善玉コレステロール」とも呼ばれます。この値が少ないと動脈硬化のおそれが高くなります。低すぎる場合は脂質代謝異常などを疑います。
異常 |
要注意 |
基準範囲 |
異常 |
29mg/dL以下 |
30~39mg/dL |
40~119mg/dL |
120mg/dL以上 |
LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、数が多すぎると血管壁に付着し蓄積、動脈硬化を進行させます。
要注意 |
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
59mg/dL以下 |
60~119mg/dL |
120~179mg/dL |
180mg/dL以上 |
体内の中でもっとも多い脂肪である中性脂肪の値もチェックします。数値が高いものは動脈硬化を進行させますが、低すぎる場合低βリポタンパク血症や低栄養状態が疑われます。
要注意 |
基準範囲 |
要注意 |
異常 |
29 以下 |
30~149 |
150~399 |
400 以上 |
健康診断は早期に病気や病気のリスクを発見するために欠かせないものです。
異常がみられた場合はすぐに精密検査や治療が必要になりますが、異常をきたす前に健康状態を改善することも可能です。
健康診断に備えるつもりで食事や運動に気を配り、毎日の生活習慣を見直してみることも、一つの方法ではないでしょうか。