ライター、インフルエンサー 坂本リエさん【輝く人のON/OFF】
撮影/佐々木実佳 木村和敬 本井良尚 取材・文/瀬名清可(Weekend.)
坂本リエ さん
さかもと・りえ●パン&スイーツ好きが高じて、ライターに。インスタグラムで始めた、ベーカリー巡りの投稿が注目され、瞬く間にフォロワーが1.7万人を突破。最近はテレビ出演も。
1年365日、パンのことを考えていると話す坂本リエさん。
インスタグラムによる“推しパン”の投稿をきっかけに、フードに特化したライター兼インフルエンサーとして活躍しています。
自分らしく生きる人を訪ねるこの連載。今回は、坂本さんのONとOFFに注目しました!
坂本さんの人生のターニングポイント
- 10歳 父の手土産が楽しみだった小学校時代。日記は毎日の習慣だった。
- 18歳 アメリカ・シアトルへ半年間、語学留学。
- 22歳 長女を出産。育児で忙しい日々が始まる。
- 26歳 キッチンスタッフとしてカフェに勤務するかたわら、ライター業を始める。
- 29歳 インスタグラムでパンやスイーツの投稿を開始。
- 30歳 スイーツメディア「ufu.」にて、連載スタート。
- 31歳 初のテレビ出演を経験。話す仕事にも意欲が湧く。
【10歳】父の手土産から始まった!パン好きへの道
坂本さんのパン好きは、幼い頃の手土産の記憶にまでさかのぼるそう。
「父は仕事終わりに、甘いもの好きの母にお土産を買ってきてくれました。平凡なパンやプリンが多かったんですが、なぜだか特別に感じて。楽しみでしたね」
デザートを囲む時間が、家族団らんのひと時だったそう。
【29歳】パンやスイーツをインスタグラムで紹介!投稿は瞬く間に人気に!
趣味のインスタグラムで、推しパンやスイーツの紹介を始めた坂本さん。短期間でフォロワー1万人を達成します!
「子どもの頃から日記などの文章を書くのが好きでした。好きなものを文章と写真で表現する。好きなことを掛け合わせた表現ができるインスタグラムは、私にとって大切なツールになりましたね」
投稿は、主観を入れず素材やつくり手の想いに沿ったものを。毎日の投稿をきっかけに、さまざまなチャンスが舞い込んでくることになります。
【30歳】編集長との出会い!働き方が変わったライターへの転身
インスタグラムに注目が集まってから、生活が変わったという坂本さん。投稿をきっかけに、メディアでの仕事の依頼が増えたそう。
「ウェブメディアで連載を担当するようになり、担当の編集長にたくさん励まされました。それまで自己流に投稿していただけなので不安も大きかったんです。でも編集長から、〝坂本さんだからこそお願いしたい〟と。今までの活動を肯定されたようで、うれしかったですね」
コロナ禍も、坂本さんにはプラスに働いたよう。
「それまではカフェでキッチンスタッフとしても働いていたんですが、より子どもとの時間を持ちたいという気持ちが強くなり、ライターだけで身を立てる決心をしたんです」
あるONの日のタイムスケジュール
- 6:30 起床。白湯を飲みながら、簡単なストレッチで体調チェック
- 6:45 子どもを起こして支度。洗濯や朝食の準備
- 8:00 朝食。食事の際は、プロテインを摂取。インスタグラムもこの時間に更新
- 9:00 業務開始。取材や打ち合わせなど
- 13:00 昼食あるいは、取材先のフードの試食。メモをとりながら行う
- 14:00 執筆に集中。毎日更新するインスタグラムの記事の編集も行う
- 17:00 夕食の準備のついでに、料理レシピの考案や、試作をする場合も
- 18:00 夕食。家族そろってテーブルにつき、今日のできごとを聞く
- 21:00 子どもが寝た後、ビジネスアイデアを整理
- 22:30 就寝
好きだからこそ冷静に忠実に綴るのが記事で大切にしていること
同じ種類のパンでも、店によって食感や味わいがそれぞれ異なり、新鮮な驚きを感じるという坂本さん。
「あんぱん一つでも、つくり手によってまったく違います。だからインスタグラムの投稿ではそれぞれのパンの個性を、端的にわかりやすく写真とテキストで伝えたい」
つくり手への取材から、意外な食材のマッチングにも興味が出てきたそう。
「あるシェフから、同じ色みの食材はジャンルが違っても合うという話を聞きました。抹茶の甘味がある生地とワカメの塩気が相性抜群。そのパンは絶品でした」
そんな坂本さんだが、仕事のために毎日試食を繰り返したところ、胃腸に負担がかかり体調を崩してしまったことも。
「半年ほど体調がすぐれないなか、自分に合ったボディメンテナンスを探りました。仕事の存続の危機でもありましたね」
結果的に、パーソナルトレーニングに打ち込むことになったといいます。
これからの夢は
パン・スイーツ業界で引っ張りだこの坂本さんの次なる目標は?
「地道に記事をつくりながら、ベーカリーとコラボ商品をつくったり、テレビなどメディアで話すお仕事もしていきたいです。夢は広がります」
【写真左上:保冷バッグ】フードの鮮度維持に。自宅で撮影を経て試食するまで、購入時の品質を保つのも大切。
【右上:フードコンテナ】試食用の食品の持ち帰りに。フードの型崩れ防止のため、大きめを使用。
【左下:ノートPC】執筆や写真加工の際の必需品。意外にもインスタグラムはスマートフォンのみで編集。
【中央:取材ノート】取材時に必ず携帯するノートは、出し入れがしやすい小ぶりなものをセレクト。
【右下:一眼レフカメラ】ウェブ記事では、フード全体がバランスよく撮影できる一眼レフを愛用。
あるOFFの日のタイムスケジュール
- 6:30 起床。白湯を飲みながら簡単なストレッチ
- 6:45 子どもを起こして支度。家事は普段よりゆったり取り組む
- 8:00 朝食。インスタグラムのチェック、更新を行う
- 9:00 ベーカリーのパンを試食、料理レシピの考案や試作など
- 11:00 パーソナルジムでトレーニング
- 13:00 昼食
- 14:00 子どもとカフェやベーカリー巡り
- 18:00 夕食。家族とともに、1週間のふり返りを行う
- 23:30 就寝
オフは筋トレに全集中!挫折から出合った筋トレがいつの間にか趣味に
試食続きで体調不良だった坂本さんが出合ったのが筋トレ。トレーニングは体に合い、すぐに夢中になったそう。
「筋トレはやるほど楽しくなって。運動嫌いなのに嘘のようです(笑)。トレーナーにお願いしているおかげで、自分のペースで取り組めるのが良いのかも」
以前から熱中すると継続するタイプだったという坂本さん。筋トレもパン紹介も頑固な自分に合っていると話します。
「振り返ると、継続こそ自分の強みなのかもしれません」
【写真左上:ミラーレスカメラ】雰囲気のある写真が撮れ、インスタグラムにぴったり。投稿用はミラーレスで撮影。
【中央:トレーニングウエア】フォームチェックができるように、ボディラインがしっかり見えるものを愛用中。
【右上:自己啓発本】投稿を続けるためにはメンタルを保つのも大切。自己啓発本は気持ちを高める。
【左下:子どもからの手紙】見ると元気になれる手紙の数々。応援してくれる気持ちに応えたい。
【右下:アクセサリー】大切な人からもらったリングは、お守り代わりにいつも身につけるようにしている。
これからのやりたいことは
不調の経験から、健康への関心も高くなったそう。
「今後はフードマイスターの資格に挑戦したい。美味しく食べながら健康も築く、そんな方法をお伝えできればと思います!」
インタビュー*編集後記*
肌の透明感とキリっとした目元が印象的だった坂本さん。SNSからチャンスをつかみ取った様子は、働き方そのものをつくりだす先進的な生き方のように感じます。“好きこそものの上手なれ”ではないですが、人は好きなことであれば没頭でき、継続できる。自分の感性を信じ追求し続けるある種の無邪気さこそ、私たちが学ぶべきところかもしれません。