専門学校講師、テクニカルライター 中本淳子さん【輝く人のオンオフ】
撮影/新山貴一 小林大介 取材・文/瀬名清可(Weekend.)
専門学校映像講師、テクニカルライター
中本淳子さん
なかもと・じゅんこ●専門学校講師、映像作家、テクニカルライターの3つの顔を持つワーキングマザー。高齢出産を記した夫の著書も話題に。引っ込み思案だった性格は、講師の仕事と英会話で鍛えられた
映像の仕事で活躍する中本淳子さん。夕刊フジの編集長で中本さんの夫である裕己さんが執筆した『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました』では、中高年夫婦の出産と子育てのリアルが綴られています。自分らしく生きる人を訪ねるこの連載。今回は、中本さんのONとOFFをお聞きしました!
10歳 いつも映画と本が周りにあった少女時代の記憶
幼い頃の記憶をたどると、父親が日々見ていた洋画を思い出すという中本さん。
「映画好きの父が見ていたチャップリンの影響で、私も映画が好きになりました。読書も好きで、空想しながら遊ぶことが多かった気がします。内気な子どもでした」
子どもの頃の空想の習慣は、現在の仕事にも生きているそう。
37歳 共通の趣味の映画で意気投合!自然と結婚へ
その後、映像の仕事に就いた中本さん。映像制作ソフトのテクニカルライターなど、キャリアの幅を広げているときに出会ったのが、夫となる裕己さんでした。
「当時、夫がSNSで映画『スモーク』のリバイバルを見に行くと投稿していて。スモークは私の一番好きな映画でもあったので、自分から誘いました。芸能記者をしていた夫は、飾らずくだけた印象で。結婚してもそれは変わらないですね」
45歳 予期しなかった妊娠 そして命をかけた出産へ
この結婚から9年、中本さんは大波乱に巻き込まれていきます。
結婚9年目のある日、中本さんは大きな衝撃を受けることになります。
「恒例になっていた年始の旅行から戻ってしばらくして、妊娠していることに気付きました。不妊治療もやらず、年齢的にも子どものいる人生は望めないだろうと夫婦で思っていたので、とにかく驚きましたね」
その後、妊娠7か月でおたふく風邪に感染。そのまま劇症型心筋炎まで発展し緊急帝王切開を受けることになってしまう。
「自分の容体が急激に悪くなっていくのがわかりました。生まれた赤ちゃんをすぐに抱いてあげられず、親子ともども集中治療へ。意識がはっきりしてきたのは、出産から4日後のことでした」
子どもがいるNICUに中本さんがベッドごと移動し、初の対面。
利己的にならず広く見る 命がけの出産で気付いた仕事仲間とのかかわり方
命をかけた出産は、その後の中本さんの仕事のスタンスをガラリと変えていきました。
「とくにフリーランスで受けている映像のお仕事は、案件の全体を見て取り組むようになりました。それまでは、〝私でなければできない仕事〟にこだわっていましたが、今では、突然仕事に穴を空けることになっても仕事がまわっていくようなシステムづくりに力を入れるようになりましたね」
自分不在でもまわるシステムづくりは、専門学校の講師として後進を育てる立場になったことにも関係しているそう。
「より生徒の個性に注目するようになりました。以前は生徒の技能や適性を見ていましたが、それは表面的なものでしかないのかもしれないと思うようになったのです。壁にぶつかったときに周りに助けを求めたり、協力しあうなどの大きな意味でのリカバリー力も重要だと感じました。プライベートでの経験が、今ようやく、生徒の指導にも生きているのかもしれません」
これからの夢は
そんな中本さんの目標は?
「学生時代の仲間と組んだアートプロジェクトを進めていきたい。仕事と育児の両立という難しさはあるけれど、家族とよい連携を取りながら挑戦を続けて
あるONの日のタイムスケジュール
- 7:00 起床、家族で朝食
- 8:30 子どもを保育園へ送った後、職場へ
- 9:30 専門学校にて、モーショングラフィックスの授業
- 13:00昼食と今後の企画の打ち合せなど
- 14:00 アニメ制作の授業
- 18:00 子どものお迎え、家族で夕食など
- 21:00翌日の授業準備やその他の仕事の確認、リラックスタイム
- 24:00就寝
体力勝負だからこそ無理をしない!中本家の育児
命の危険を乗り越え、仕事にも復帰した中本さん。人生の危機を経て、変わったことは?
「〝無理をしない〟は鉄則です。高齢育児は体力勝負ですから、何事も余裕をもって終わらせています。公園から帰るのも疲れたらタクシーってね」
旦那さんとも育児について話す時間を持ち、1人で抱え込むことがないようにしているそう。
「夫も出産時の出来事で育児に積極的になっています。夫婦の時間は息抜きでもありますね」
これからやりたいことは
子どもの成長を見守りながら、挑戦したいこともあるそう。
「旅行は、たくさん行きたいですね。息子は夫に似てフットワークが軽いので、さまざまな文化圏での交流が楽しめるはず」
あるOFFの日のタイムスケジュール
- 7:30 起床。晴れていれば、シーツの洗濯やふとん干し
- 9:00 朝食後、近所の公園へ。夫婦で子どもと遊ぶ
- 12:00 夫がつくる麺メニューで昼食
- 13:00 子どもは昼寝、大人は読書や翌日の仕事の準備時間。たまに一緒に昼寝
- 15:00 夕食の買い物(夫)の間にたまった家事を片づける
- 18:00 夕食後、ネットフリックスなどの配信を見る。子どもは大好きなテレタビーズの時間
- 21:00 子どもを寝かしつけ、夫婦で晩酌
- 24:00 就寝