精進料理とは?体をいたわる養生レシピに注目!
日本の伝統食である精進料理が改めて注目されています。精進料理は仏教の規範に従って動物性食品を使わず、野菜や穀物のみを使う料理です。
現代社会において、精進料理は宗教的な目的以外にも「ヘルシーな料理」「ダイエットに良さそうな料理」というイメージから幅広い世代で人気を集めています。
今回は、精進料理のルールや、中高年の女性が精進料理を取り入れるメリット、おすすめの精進料理レシピなどを分かりやすくご紹介します。
精進料理はダイエットにもおすすめ
精進料理は、仏教で殺生や煩悩を避けることを目的に取り入れられている料理です。
仏教とともに中国から日本へ伝わり、天台宗や真言宗のお寺で食べる料理として始まりました。精進料理が確立したのは鎌倉時代の禅宗においてです。鎌倉時代から室町時代には仏教が庶民に普及し、同時に全国のお寺へ精進料理が広まりました。
「精進」とは仏教用語で「肉や魚を避けて粗食をし、身を慎み、仏道の修行に励む」という意味があります。
現代ではよく、ビジネスシーンなどで「精進します」という言い方をします。これは仏道の修行に励むように「一つのことに精神を集中し、一生懸命努力します」という意味です。
また、精進料理はダイエットにもおすすめです。食事で太りやすいのは、「ラーメンとチャーハン」「パスタとパン」「サンドイッチとおにぎり」など、“糖質×糖質”のメニューです。これらは糖質過多で野菜が少ないため、血糖値の急上昇を招きやすく、頻繁に食べていると肥満につながりやすいといわれています。
一方、精進料理では食物繊維が豊富な野菜をたっぷり使います。食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする作用があり、肥満など生活習慣病の予防効果が期待されています。
さらに、精進料理は一般的な洋食と比べて脂質やカロリーも低く、食べ過ぎが気になる方やダイエットをしたい方に向いている料理です。
精進料理ではどんな食材を使う?
お伝えしてきたように、
精進料理で使える食材と使えない食材をまとめました。
<精進料理で使われる主な食材>
- 野菜
- 穀類(米、小麦、大麦など)
- 果物
- 豆類(大豆、小豆、落花生など)
- 海藻類
- 種実類(ごま、アーモンドなど)
<精進料理で使えない食材>
- 肉
- 魚
- エビやカニなどの甲殻類
- 香りの強い野菜(ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなど)
- 刺激の強い香辛料(コショウ、ショウガ、トウガラシなど)
精進料理は植物性食品のみを使うのが基本ですが、植物性食品の中でも刺激の強い野菜や香辛料は煩悩を刺激すると考えられているため、使えない食材となります。※宗教によって細かなルールは異なります。
動物性食品を使わない精進料理の主なタンパク質源は、大豆食品やお麩、ごまなどです。
大豆食品には蒸し大豆や豆腐、湯葉、油揚げ、高野豆腐、納豆、豆乳、きなこなどがあり、精進料理に多用されます。ごまはすりごまや炒りごま、練りごまなどがあります。また、「粗食」と聞くと、ごはんに味噌汁、漬物を添えただけのような質素な料理を想像しますが、それだけではなく、精進料理は実に多様なメニューがあります。
たとえば、豆腐を使ったうなぎの蒲焼もどきや、果物や小豆を使ったおしゃれなデザートなども作れます。簡単で美味しい現代風の精進料理もたくさんあるので、ぜひ気軽に楽しんでみましょう。
中高年女性が精進料理を取り入れるメリット
中高年の女性が食生活に精進料理を取り入れるメリットには、次のことが挙げられます。
栄養バランスが整いやすい
精進料理には春夏秋冬の旬の野菜や大豆、ごまなど、栄養価の高い食材がたくさん使われています。そのため、精進料理を取り入れることで栄養バランスが整いやすくなります。
旬の野菜はビタミンやミネラルを豊富に含みます。大豆はタンパク質やカルシウム、大豆イソフラボンが豊富です。50代以降の女性は骨が弱くなりやすいですが、カルシウムは骨の強化に役立ちます。大豆イソフラボンは更年期症状の緩和効果が期待されている成分です。
ごまは良質な脂質やタンパク質の他、ビタミンEも含みます。ビタミンEには抗酸化作用があり、老化防止に役立つといわれています。
このように、プラチナエイジの女性が意識して摂りたい栄養素を自然と補えるのが精進料理の特徴です。
普段の食生活を見直せる
現代人は、和食が中心のかつての時代とは異なり、洋食や中華、イタリアン、ファーストフード、スイーツなど、あらゆる料理が食べられます。その分、食生活が乱れやすいと感じている方も多いことでしょう。
粗食の精進料理を取り入れることは、普段の食生活を見直すきっかけにもなります。素材の繊細な味を生かした精進料理を食べると味覚が鋭敏になり、日頃の食生活の乱れを実感する方も多いようです。
もちろん、精進料理ばかりを毎日続ける必要はありません。たとえば、平日は普段通りの食事を楽しみ、週末だけ精進料理を取り入れるなどの方法で、日頃の食生活を振り返りながら無理なく続けるのがおすすめです。
おすすめの現代風精進料理レシピ
ここでは、現代風にアレンジしたおすすめの精進料理レシピをご紹介します。
【洋風】豆腐とれんこんのハンバーグ
木綿豆腐とれんこんで作るシンプルなハンバーグです。塩分が気になる方は酢醤油だれを手作りすることで、塩分を通常より約30%カットできます。
<材料>(2人分)
- 木綿豆腐 1丁
- れんこん 200g
- 片栗粉 大さじ1
- 塩 小さじ1/2
- しょうゆ 大さじ1
- 米酢 大さじ1/2
- ごま油 小さじ2
- 大根おろし 適量
- トマト、きゅうりなど好みの旬野菜 適量
<作り方>
①木綿豆腐は水切りする。れんこんはすりおろす。
②しょうゆとお酢を混ぜ合わせて酢醤油だれを作る。
③ボウルに①と片栗粉、塩を入れてよく混ぜ、2等分して小判型に整える。
④フライパンにごま油を入れて火にかけ、③の両面をこんがりと焼く。
⑤焼きあがったら器にのせ、大根おろしと野菜を盛り付けて酢醤油だれをかけていただく。
【和風】こんにゃくの白和え
ダイエットに人気のこんにゃくを使ったメニューです。こんにゃくは低糖質、低カロリーで食物繊維を豊富に含みます。
<材料>(2人分)
- 木綿豆腐 100g
- ほうれん草 1株
- 人参 30g
- こんにゃく 30g
- すりごま 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
<作り方>
①豆腐は水切りする。ほうれん草は食べやすい長さに切る。人参は細切りに、こんにゃくは短冊切りにする。
②ほうれん草、人参、こんにゃくをさっと茹でて水気をしっかり切る。
③ボウルにすべての材料を入れてよく混ぜ合わせる。
【中華】かんたん胡麻豆腐
胡麻豆腐は代表的な精進料理のひとつです。本格的な胡麻豆腐では葛粉を使いますが、ここでは片栗粉を使ってより手軽に作ります。濃厚なごまの風味を楽しめる一品です
<材料>(2人分)
- 豆乳(成分無調整) 150ml
- ねりごま 大さじ1
- 片栗粉 大さじ1と1/2
<作り方>
①鍋にすべての材料を入れて、よくかき混ぜてから火をつける。
②弱火で絶えずかき混ぜながら加熱する。
③全体がぽってりとまとまってきたら火を止める。
④をバットに移して広げ、ラップをかけて冷蔵庫で冷やし固める。
⑤食べやすい大きさに切ってお皿に盛り付け、しょうゆやみそだれなどをかけていただく。
体にやさしい精進料理を取り入れよう
精進料理は日本が誇る伝統料理です。最近は精進料理のレシピ本や精進料理教室、精進料理の通信講座なども登場し、誰もが気軽に精進料理を学べるようになりました。精進料理を味わえる料亭やカフェもあります。
食事は健康や美容の要です。時々は精進料理を取り入れながら、より健康的で美しく、充実した生活を送ってみてはいかがでしょうか。