自分でできる肩こりの鍼灸 歯ぎしりも肩こりの原因
こんにちは、内科医師の春田です。前回は「肩こり」に悩んだ私があれこれ試した「肩こりグッズ」について紹介しました。肩こりグッズはお手軽ですが、重症の肩こりの場合はそれだけではなかなか解決しないかもしれませんね。
今回は、もう少し医学的に改善が期待できる方法について紹介します。今回紹介する内容も基本的には私が実際に行ったものです。
自分でできる鍼があります!
これは知り合いの看護師さんが教えてくれたものです。看護師さんも患者さんの介助で力を使ったり、カルテ入力はパソコンを使っているので、肩こりや腰痛に悩んでいる人は多いのです。
私が「肩こりが限界。鍼って効くのかなあ?」と聞いたところ、実は多くの看護師さんが鍼を利用したことがあることを知り驚きました。でも、看護師さんの勤務は不規則で、終わる時間も予定通りに行かないことが多く、予約して鍼に通うことがなかなか難しい、という話になったときに1人の看護師さんが「自分でできる鍼があるよ?」と教えてくれたのです。
自分でできる鍼は鍼灸院で使われる長い鍼とは異なり、長さは一番長いものでも1.5mm。円皮鍼(えんぴしん)とも言います。イメージとしては画びょうみたいな形ですね。
最もよい使い方は、鍼灸院に行って鍼を打ってもらい、効果的な位置を教えてもらって、鍼灸院に行けない時はそこに自分で円皮鍼を貼る、というのが理想的ですが、鍼灸院に行くのが難しい場合は、押さえて一番気持ちがいい場所に貼る、ということでも効果はあるそうです。
私も最初は怖かったので、神経や血管が少なく筋肉が分厚い背骨と肩甲骨の間に1枚貼ってみて、3日間過ごしました。
刺した瞬間はチクッとしますが、それ以降は貼っていることを忘れそうなほどです。背中に貼って、天井向きに寝るのは大丈夫かな?と思っていましたが、全然鍼は感じませんでした。これで安心した私は肩周り用に1.5mmの長さの鍼を、首や手足など皮膚の薄いところには0.9mmの鍼を使っています。
それでもどうしても鍼は怖いという人は小さな粒がついて皮膚を押すだけのタイプもあるので、そこから始めてみてもいいかもしれませんね。
私の使っている円皮鍼は1回刺すと3日ほど貼りっぱなしです。シールが肌色なので目立ちません。1個あたり約20円です。
鍼灸をする場合は、多少ツボの知識があるといいですね。
肩こり対策で有名なツボ
- 「肩井(けんせい)」肩の先と首の付け根の中間地点です。
- 「天柱(てんちゅう)」うなじの部分、首のうしろの髪の生え際で首の骨の左右の部分。
- 「手三里(てさんり)」手で反対側の腋を触るように肘を曲げ、肘のしわから約指3本分手首側の上になっている部分です。
- 「合谷(ごうこく)」手の甲の親指と人差し指が交わる場所から少し手先の人差し指側です。
私は「肩井」に1.5mmの鍼を、「手三里」に0.9mmの鍼を使うことが多いです。
ちなみに鍼に挑戦した流れで、お灸にも挑戦してみました。
お灸初心者なので、最もマイルドなものを首と肩の間に使ってみましたが。。。とにかく臭いが強い。同じ部屋にいた子供から苦情が来ましたが、終わるまで動けず。終わって皮膚からはがすときには灰が落ちて、何回か使って効果を確認したかったのですが、1回で検証は終了です。
煙が少なく臭いがほとんどないタイプや、火を使わずレンジで温めるタイプもあるようですが、普通のタイプが1個15~20円なのに対し、火を使わないタイプは77円~と値段が全然違うので、私はお灸はあきらめ、鍼でいくことにしました。
歯ぎしりについて
ところで私は「歯ぎしりがすごかったよ」と家族に言われて、「これも肩こりの原因では?」と思い当たりました。そこで歯医者に行き、「家族に歯ぎしりがあると言われたのですが?」と聞いたところ、歯医者さんは一目私の歯を見るなり「あーありますねー。奥歯が真っ平なので。」と言われました。
そこで、歯ぎしり用のマウスピースの作成をお願いしました。
私の歯ぎしりは寝ているときだけのようなので、自分では気づかなかったのですが、同僚には考え事をしているときに友人に「歯ぎしりしているよ」と言われた人もいます。
起きていても自分が歯ぎしりしているかどうかわからないこともあるのです。また、歯ぎしりは「ギシギシ」音がするものと思われがちですが、ギューッとかみしめるタイプの歯ぎしりもあり、こちらも音がしないので気づきにくいです。
歯ぎしりの時に歯にかかる力は100㎏以上ともいわれ、その状態が続けば歯も痛めますし、周りの筋肉も緊張して肩こりの原因にもなります。マウスピースをすると歯ぎしりそのものがなくなるわけではありませんが、力を分散させることにより歯や顎の負担を取り除くことができます。
市販でも歯ぎしり用のマウスピースは手に入りますが、型を取って作ったマウスピースでも費用は3,000円で、それほど高いものではありません。市販のマウスピースは使ったことはありませんが、歯医者さんで型を取って作ったマウスピースはフィット感がよく、「口にものを入れたまま寝れるかしら?」と思っていたのですが、初日からほとんど違和感なく寝ることができました。
ただし、私の場合は虫歯があったので、型を取る前に虫歯の治療が必要でしたが、こんな機会がなければなかなか歯医者にも行けないので、ちょうどよかったです。
マウスピースは上の歯だけで、型を取ってから出来上がりまでは1週間でした。寝る前に歯を磨いて装着し、朝起きたら外して水洗いするだけで、手入れもそれほど手間がかかりません。
マウスピースは1回作成すると少なくとも半年はもちます。
まとめ
今回は肩こりの改善方法として鍼灸と歯ぎしり対策のマウスピースを紹介しました。鍼灸は自分で試すこともできますが、時間があれば鍼灸院でいいポイントを教えてもらうといいですね。マウスピースは自分に合ったものを作るためには歯医者さんに行かなければなりませんが、肩こりの改善だけでなく、歯も守ることができるので、気になった人は歯ぎしりがあるかどうか一度歯医者さんでみてもらうと安心でしょう。
次回は筋膜リリースについてご紹介します。