プラチナエイジ世代に多い膝の痛みについて解説!原因や治療法は?
立ち上がりや、歩き始め、階段の上り下りなど膝に痛みを感じる機会が増えていませんか?特に女性は、男性よりも膝の関節の面積が小さいため、関節にかかる荷重が大きいことや、女性ホルモンの急激な減少などによって、膝に痛みが出やすいと言われています。ここでは、プラチナエイジ世代に多い膝の痛みの原因や、治療法、手軽に行える運動やストレッチの方法などについて解説します。
膝が痛くなる原因とは?
女性が更年期に差し掛かると、女性ホルモンの分泌が減少し、身体のあらゆるところに弊害をもたらします。膝の関節の痛みもその1つです。女性ホルモンが減少すると、関節にある軟骨の主成分であるコラーゲンの生成も減少します。コラーゲンは膝の動きを滑らかにして衝撃を和らげるクッションの役割を果たす軟骨の材料です。そのため、コラーゲンが不脚すると軟骨も減少し、痛みや腫れを引き起こします。
また、更年期が原因で起こる膝の痛みは、「変形性(へんけいせい)膝(しつ)関節症(かんせつしょう)」となるリスクを高めることが分かっています。変形性膝関節症とは、立ったり座ったりなど膝の軟骨への負荷が大きくなることで軟骨がすり減ってしまう病気のことで、加齢により軟骨を包む関節液という液体の弾力が失われていくことが原因となります。変形性膝関節症は女性ホルモンの減少に加え、急激な体重の増加や、運動不脚であることがハイリスクであり、進行すると膝に水が溜まって腫れたり、歩くことが困難になる程痛みが強くなります。
膝の痛みを治す方法とは?
膝の痛みが女性ホルモンの減少によるものであれば、女性ホルモンを薬で補充することで関節痛が緩和する可能性があります。
変形性膝関節症と診断された場合には、運動や薬で症状を和らげる保存療法と手術療法という選択肢があります。変形の少ない初期の段階や膝が腫れている時は薬で膝の炎症と痛みを抑えます。関節の滑りを良くするために、膝の関節内にヒアルロン酸注射を打つこともあります。薬物療法は、膝の炎症を抑えて痛みを和らげることが目的であり、変形性膝関節症そのものを治すことはできません。膝の変形が少ない段階では、膝にかかる負担を減らすために、膝の周りの筋肉を鍛える運動療法(リハビリテーション)も合わせて行われます。
膝の変形が進行している場合には手術が適応となります。手術方法は、変形の進行具合や本人の年齢、意志、生活環境などによって異なります。重度になると人工膝関節置換術といって、膝にステンレスやチタン合金などの材質でできた人工関節に置き換える手術が行われることもあります。
膝の痛みを改善する方法とは?
加齢による膝の組織の老化や女性ホルモンの減少には逆らえませんが、ストレッチや膝周辺の筋肉を強化することで膝の痛みを予防することができます。痛みがあるからといって膝を動かさないでいると、膝周辺の筋肉が落ちて膝関節をしっかりと支えられなくなるため、痛みが増すという悪循環に陥ります。激しい運動は逆効果ですが、無理のない範囲で運動することで膝の傷みを緩和する効果があります。
<膝の痛みを緩和する脚上げ運動>
- 仰向けになり、片脚を曲げる
- 反対の脚は伸ばしたまま床から10cm程ゆっくりと上げる
- 5秒間静止×左右20回ずつ行う
太腿の前後の筋肉や、お尻の筋肉、骨盤の横に筋肉など下半身の筋肉が硬くなっていると膝の動きにも影響が出ます。膝の曲げ伸ばしをスムーズにするには入浴後にストレッチを行って筋肉の緊張をほぐし、血流を良くすることも効果的です。
<太腿の前側を伸ばすストレッチ>
- うつ伏せになり、クッションの上に片膝を乗せて曲げる
- 片手で脚を持ち、踵をお尻に近づけるように引き寄せる
- 息を吐きながら20~30秒間静止×左右各2~3セット行う
<太腿の裏側を伸ばすストレッチ>
用意するもの:フェイスタオル
- 仰向けになり片脚を上げる
- 膝を少し曲げ、脚の裏にタオルをかけて両手で持つ
- タオルを手前に引きながら膝をゆっくりと伸ばす
- 息を吐きながら20~30秒間静止×左右各2~3セット行う
<お尻のストレッチ>
- 脚を伸ばし、両手は体の後ろに置く
- 片方の膝を曲げて反対側の太腿の上にかける
- 伸ばした脚の膝を立て、かけた脚を胸に近づける
- 息を吐きながら20~30秒間静止×左右各2~3セット行う
また、体重の維持、減量を行うことでも膝の負担を減らし痛みが改善する場合があります。更年期に入り女性ホルモンが減少すると、太りやすいという弊害があります。肥満気味である人は、体重が適正範囲(BMI 18.5~22)となるよう運動習慣や食生活の改善が必要です。
まとめ
プラチナエイジ世代では膝の痛みを抱えている人が多く、その多くは変形性膝関節症が原因となります。膝が痛いからといって動かない生活が続くとさらに痛みが強くなってしまうため、できる範囲でストレッチや運動を行うことが悪化の予防となります。膝の痛みのせいで生活が制限されてしまう前に、まずは医療機関に相談してみましょう。