更年期にサプリのススメ|注意点やおすすめ成分は?
内科医師の春田です。よく、体調不良で病院を受診された40~50代の女性から「疲れやすいんですが、更年期だからでしょうか?」と相談されます。年齢的にはもちろんありうるのですが「更年期のせいです」と断言するのはとても難しいのです。
更年期の症状は、人によって症状も、その感じ方も人によりまちまち。症状の強い人は病院で治療することをおすすめしますが「治療するほどではないけど、症状を和らげたい」「更年期に伴う身体の変化を予防したい」と思っている方は多いです。
そんな方のために、更年期にはどんな成分が配合されたサプリを選んだらいいかについて解説します。
「更年期」と決めつけず、辛いときは病院へ
おすすめのサプリについて解説する前に、1つ注意点があります。「この症状は更年期のせい」と決めつけて、サプリを妄信するのは危険です。
更年期の症状は、身体だけでなくメンタルに現れることもあり千差万別。なにかしらの検査で診断することもできません。このような“確定診断”ができない病気の診断方法を“除外診断”といいます。
例えば「疲れやすいのですが、更年期だからでしょうか」という患者さんがいた場合、まずは症状にあわせて必要な検査をします。検査の結果、異常がなければ「更年期症状です」と診断することになるのです。
しかし、このときの検査で貧血や女性に多い甲状腺の病気等が見つかるケースがあります。つまり、医者に相談せず「更年期だから」と決めつけるのは危険。「とりあえず更年期のサプリを飲んで様子を見よう」と時間が過ぎるうちに、重大な病気を見逃す可能性もあるのです。
ですから、気になる症状があるときは病院を受診されることをおすすめします。その結果、異常がなく更年期症状の治療が必要ない場合、サプリメントを取り入れるといいでしょう。
ここからは、更年期の方に選んでほしいサプリの成分についてご紹介します。
おすすめ①イソフラボンが配合されたサプリ
更年期症状の主な原因は、女性ホルモンである「エストロゲン」の減少です。そこでおすすめしたい成分こそが、イソフラボン。イソフラボンはエストロゲンと似た分子構造を持っており、身体の中で同じような働きをします。更年期症状であるほてりやうつに対して、大豆イソフラボンを多く摂っている人の方が症状が出にくかったという報告もあり、該当する方には特におすすめです。
サプリではなく、大豆や大豆製品(豆腐や納豆など)でもイソフラボンを摂取できますが、1つ注意があります。大豆イソフラボンは、腸内細菌によって「エクオール」という物質に変化することで効果を発揮しますが、この腸内細菌を持っているのは日本人の4割程度です。
以上のことから、イソフラボンの効果を最大限実感したい方は、イソフラボンではなく「エクオール」が配合されたサプリがおすすめ。イソフラボン配合サプリよりも価格が高い傾向がありますが、エクオールを直接摂取することができます。
おすすめ②ビタミンD・カルシウム配合のサプリ
更年期になり女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減少すると、骨粗しょう症のリスクが高まります。そこでおすすめなのが、ビタミンDとカルシウム配合のサプリです。
骨粗しょう症対策に重要なのは、骨を作る材料である「カルシウム」とそれを骨に運ぶ「ビタミンD」。日本人の食事調査によると、日本人のカルシウムとビタミンDの摂取量は必要量に足りていないと報告されています。
食事でカルシウムが効率的に摂れるのは乳製品ですが、乳製品を摂ることが少ない人はカルシウムのサプリによる補充を考えるとよいでしょう。ビタミンDは、食事の他に日光を浴びて皮膚で作ることもできる栄養素ですが、普段メイクをしたり日焼け止めを塗っている方、日中は室内にいることが多い方は、ビタミンDのサプリで補うのがおすすめです。
おすすめ③キトサン・リコピン配合のサプリ
女性ホルモン「エストロゲン」の減少は、動脈硬化のリスクを高めます。これは、エストロゲンに動脈硬化の原因である「悪玉コレステロール」を分解する働きがあるためです。そこでおすすめなのが、キトサンとリコピン配合のサプリ。
キトサンはカニやエビの殻に含まれている食物繊維の一種で、悪玉コレステロールを減らす働きがあります。リコピンはトマトに含まれる赤色の色素で、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす働きがあります。
ここまで、更年期におすすめのサプリをご紹介しました。ただし、サプリはあくまで“食品”の一種。普段から規則正しい食生活を心がけながら、あくまでも栄養補助としてサプリを活用してくださいね。
内科医
春田 萌
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医
大学病院、二次救急病院、在宅医療を経験。