更年期の「終わりのサイン」って?更年期後、心と体に起こること
更年期とは、加齢に伴う「性ホルモンの分泌量減少」によって体に不調が起こる時期のこと。性別にかかわらず、多くの方が平均して40代から60代に更年期を過ごします。
女性の場合は、閉経※から前後10年を「更年期」といいますが、閉経から5年以上経っていても更年期の症状が落ち着かず、心身ともに限界を超えてしまうことも……。そこでこの記事では、更年期真っ只中の方や「更年期が終わったのかわからない」という方のために、更年期の『終わりのサイン』や、更年期の後に起こる体の変化について解説します。
※閉経とは、月経が来なくなった状態のこと。生理が1年以上こないとき、1年前にさかのぼって「閉経」とします。
更年期の「終わりのサイン」はあいまい
更年期は閉経の前後5年を指す言葉のため、閉経してから5年経てば「更年期は終わり」と言えます。しかし、更年期の症状を実感する時期は人によりさまざま。あわせて10年以上、更年期の症状を感じる方がいれば、症状が軽い方、更年期が終わってから症状が出る方もいます。
更年期の「症状の終わり」は?
更年期にさまざまな症状が出るのは、この時期に急激に「エストロゲン(女性ホルモン)」が減少するため。ただし、エストロゲンは単純に減少していくのではありません。減ったと思ったらまた増えて、安定したと思ったらまた減って……を繰り返し、ゆらぎながら減少していきます。
そのため、更年期障害の終わりはとてもあいまい。「症状がなくなったから」といって更年期が終わったとは限らないため、「これがあったら絶対に更年期は終わっている」と断定できる『サイン』はありません。
ただし、閉経前後の体と心に大きな変化が訪れるのは確かなこと。更年期の体と心の変化を受け入れ、アフター更年期に備えることは、これからの人生を快適に過ごすために役立ってくれるでしょう。
更年期が終わると、体と心に起こること
一般的に、閉経してから約5年が経ち「更年期が終わり」になると、エストロゲン分泌の“ゆらぎ”が落ち着いて、ほとんど分泌されない状態になります。この状態になると、更年期の症状は落ち着いていきますが、心身にさまざまな変化が現れます。
体の変化 |
・骨がもろくなる(骨粗しょう症のリスク増加) |
心や脳の変化 |
・物忘れや仕事のミスが増える |
更年期が終わるにもかかわらず体にネガティブな変化が現れるのは、これまで女性の心身を守っていた「エストロゲン」の分泌がほとんどなくなってしまうから。
表のようなネガティブな変化を放置していると、症状が悪化して慢性化したり、思わぬ病気に繋がることもあるため注意が必要です。神経質にならず、自分で解決できないときは病院やカウンセリング等に出向いて専門家の力を借りることをおすすめします。
アフター更年期を快適に過ごす《基本の4つ》
不規則な生活は、更年期に高まる「憂鬱」や「イライラ」に拍車をかけます。これは、不規則な生活を繰り返すことで睡眠の質が下がり、精神の安定に重要な「セロトニン(通称:幸せホルモン)」の分泌が悪くなるため。
セロトニンはエストロゲンの減少により不足しがちになりますが、不規足な生活を送ると、さらにセロトニンの分泌が悪くなってしまうのです。
まずは、自分が快適に過ごせる「起きる時間」「食事を摂る時間」「寝る時間」を見つけて、毎日同じサイクルで生活することを心がけましょう。生活リズムが整うと、目覚めが良くなり勉強や仕事の効率がアップするメリットもあります。
②適度な運動を習慣にする
運動は「更年期の症状」や「更年期後に高まる骨粗しょう症のリスク」を抑えたり、筋肉量を維持してサルコペニア、ひいては認知症を予防することに繋がります。適度な運動はストレス解消や睡眠の質を向上させるうれしい効果も。
これまでに運動の経験がない方は、ハードルが低い簡単な運動から始めればOK。少しずつでいいので継続しておこなって、慣れてきたら「筋トレ」と「有酸素運動」を組み合わてみましょう。以下は、運動方法の一例です。
①ウォーミングアップ |
5分ほど、簡単なストレッチや軽いウォーキング |
②有酸素運動 |
20~40分ほど、ウォーキング、水泳、サイクリング、社交ダンス、ゴルフ、卓球など、好きな有酸素運動を体調に合わせておこなう |
③クールダウン |
5分ほど、簡単なストレッチや軽いウォーキング、マッサージ |
運動は無理のない範囲で、週に3~4日おこなうことを目標にしてみましょう。習慣にすることが大切なので、1日の運動量を上げることよりも“続けること”を意識してみてください。
また運動をするタイミングは、食後すぐや入浴後、飲酒後、空腹時は避けて、食事から2時間以上経ってからおこないましょう。毎日の家事も、有酸素運動のひとつ!普段の運動量が多い方は、バランスを調整しながら無理せず運動を続けましょう。
③バランスのよい食事を心がける
更年期に減少するエストロゲンは、脂肪やエネルギーなどの代謝にもかかわっているため、更年期後は栄養バランスが崩れがちに。健康にいいものをたくさん食べるのではなく、いろんなものを“バランスよく”食べるのがポイントです。
また、大豆イソフラボンはエストロゲンと似た分子構造を持っており、体の中で似た働きをしてくれることがわかっています。更年期の症状が気になる方は、豆乳や納豆、豆腐など大豆イソフラボンが豊富に含まれる食品を取り入れるのがおすすめです。
また、水分補給も心と体の健康のために重要。更年期の症状には、肌の水分量の低下、口など粘膜の乾燥があるほか、ホットフラッシュによって多くの水分を失っているケースもあるため、水分補給は意識しておこなってください。
編集部のおすすめ食材①太りやすい方におすすめ「菊芋」
菊芋は、美容と健康にいいと人気の成分「イヌリン」が豊富に含まれたキク科の植物。イヌリンには食物繊維やミネラル・ビタミンなど、健康はもちろん、ダイエットと美容が気になる方に嬉しい成分が凝縮しています。きんぴらやポテトサラダ、煮物、チップスなどさまざまなお料理に使えるのも嬉しい食材です。
産地直送サイト「めりぃさんのお店」でも菊芋関連の商品をお取り寄せできます。
編集部のおすすめ食材②エストロゲン類似成分配合「大豆」
女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする「大豆イソフラボン」は、更年期の症状が気になる方に積極的に摂ってほしい成分。豆乳、お豆腐、納豆など加工品から摂るのはもちろん、大豆そのものも意外と気軽にお料理に使うことができます。他の具材と一緒にカレーやスープに入れたり、軽く煮詰めてサラダやハンバーグに入れるのもおすすめ!
産地直送サイト「めりぃさんのお店」でも大豆イソフラボンを豊富に含んだ食材をお取り寄せできます。
疲れを感じたときは「まだ大丈夫」ではなく「自分が思っているより自分は疲れている」と考えて。エストロゲンという体と心の“健康基盤”がほとんどなくなる更年期後は、身体的にも精神的にも不安定になって当たり前です。
心や体が疲れたら、必ず休んでケアしましょう。気になることがあれば、速やかに病院やカウンセリングで専門家に頼ることも大切です。
できれば、自分が疲れを感じる前に先手を打っておくのがおすすめ。規則正しい生活や適度な運動、バランスの良い食事を習慣にすることは、体や心のストレスをできるだけ減らす有効な手段です。
「疲れ」は自分の知らないうちに蓄積するため、見て見ぬふりをしていると「自覚したときには限界だった」ということになりかねません。疲れを感じていない状態で休むことは悪いことではなく、むしろ大切なこと。楽器や習字、絵画など「これをしたら、自分は機嫌が良くなる!」という趣味を見つけて、習慣にすることもおすすめです。
更年期の終わりに痩せる人と太る人の違い
更年期の前後で、体型について悩む方は多くいます。これは、閉経前後に激減する「エストロゲン」に脂肪燃焼をサポートする働きがあるため。閉経後は脂肪を燃焼する力が衰え、太りやすくなる人が多いです。
しかし、中には閉経後に痩せる人もいます。閉経後に痩せる原因は、ストレスによる食欲不振、更年期障害による消化力の低下など。この時期に痩せることは、必ずしもポジティブな変化ではないことを覚えておきましょう。
また、40~60代にかけて太りやすくなる理由は、更年期だけでなく「加齢による基礎代謝の低下」や「ストレス・自律神経の乱れによる食欲の増加」なども考えられます。健康異常で太ったり痩せたりする可能性もあるため、気になるときは必ず病院に行きましょう。
ストレスフルな更年期に、無理なダイエットは禁物!まずは規則正しい生活、適度な運動、バランスのよい食事を意識しておこなうことが理想の体型への一歩です。
更年期が終わっても、油断は禁物
更年期の終わりとは、エストロゲンがほとんど分泌されなくなり病気のリスクが高まることを意味します。症状が楽になったからといって油断せず、心身に耳を傾け、気になることがあれば後回しにせず医者やカウンセラーなど専門家に相談しましょう。
更年期を迎える年齢は、管理職に就いたり、親が亡くなったり、子供が巣立ったり、介護が始まったり……環境の変化が起こりやすい時期。「もっとできる」と自分を鼓舞するより、自分の心と体に耳を傾けて「休む勇気」を持つことが、自分自身はもちろん、周囲の幸せにも繋がるはず。
今回ご紹介した「アフター更年期の変化」や「心身ともに快適に過ごす方法」をヒントに、自分自身を大切にしてくださいね。
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